高瀬川(平野啓一郎)

高瀬川 (講談社文庫)

高瀬川 (講談社文庫)

上で、どうして春樹にそれほど高い評価を与えてないかというと、こっちの方がすごかったから。
いやぁ、やっぱりすごいよ、平野啓一郎
どの短編も、非常に刺激的。
「清水」は、街の幻想性と、死体の象徴性がとても印象的。
高瀬川」は、逆に丹念な描写と会話の繰り返しが面白いです。
「追憶」「氷塊」は、ともに非常に実験的な作品。
「追憶」は、特に面白い。
ネットのSSサイトとかではよく見たことあるような手法だけど、ここまでの完成度にするのは、さすが。
「氷塊」は、さすがにほかの人にこれはできないだろうなぁ、と。
平行線が混じり合う瞬間というか、非ユークリッド幾何学のような、そんな不思議な印象が。


それにしても、個人的にはどうしてもライトノベル方面の情報を収集することが多いせいか、平野啓一郎の話題ってそれほどはいってこないんですよねぇ。
以前、CNET Japanで彼がコメント残してるのを見てたりとか、それくらい。
あ、あとオフィシャルブログあるね。うん。
でも、やっぱりライトノベル的な盛り上がりというか、そういうのは全くと言っていいほどないんだよなぁ。
「純文学だから仕方がない」
と言われるかもしれないけど、これだけのものを読まずにいるというのは非常にもったいない気がするので、みんな読んでみると良いと思う。
……ボク、葬送積んでるけど。