ライトノベルレーベルはセカンドサマーオブラブの夢を見るか?
イギリス、マンチェスターに、ファクトリーという音楽レーベルがありました。
Joy Division、New Orderなど、ニューウェーブ、ポストパンク、マッドチェスターと呼ばれるジャンルに大きな足跡を残したインディーズレーベルです。
#ファクトリーって、インディーズレーベルだったんだね……
#wikipediaで確認して、はじめて知った……
ファクトリーは、レーベルのイメージというものにこだわっていました。
例えば、レコードだけじゃなく、様々なものにつけられたカタログNo.など。
- FAC 1はクラブイベントのポスター
- FAC 51はレーベルが経営したクラブ
- FAC 501は、レーベル設立に大きな役割を果たした、トニー・ウィルソンの棺桶
などなど。
作るものに妥協はせず、New OrderのBlue Mondayという曲のレコードは、
フロッピーディスクを模したジャケットにコストがかかり、
1枚売るたびに2ペンスの損失だったという逸話も残っています。
ファクトリーに限らず、音楽業界には、細部にまでこだわり、
それぞれの色を持っているレーベルがたくさんあります。
ビートルズのアップルレコードとか、知らない人はいないくらいだよね?
翻って、小説業界に目を向けると、
創元推理文庫や、ハヤカワ文庫など、特色のあるレーベルもありますが、
特にライトノベル業界に限ってみると、そこまで特色があるところって、
多くないのかな? と。
ガガガ文庫とか一迅社文庫は、カラー的なものが見えるような気がしないでもないし、
近年の富士見ファンタジア文庫は、老舗レーベルの巻き返しというので面白いのはある。
でも、音楽レーベルほどのはっきりとした特色というのはないような気がしてる。
小説と音楽の違いとして考えられるのは、
- 流通経路
- コスト
- 頒布範囲
- 損益分岐点
などが考えられる。
#書籍流通とか、そんなに詳しくはないですが……
たぶん、レコード/CDよりも、書籍の方が流通コストなどかかるんだろうなぁ、と。
あと、扱う店側にも、そういう少部数での販売というのができにくい体勢になっているのかもしれない。
きっと、取り次ぎとか、そのあたりにいろいろありそうな気はしてるけど。
作者側としては、自分の好きなものを書きたい、
同じような志を持った仲間と、一緒に作り上げたい、
という欲求は、ないことはないんじゃないかなぁ、と。
#同人小説などで、そういうことは実際にあると思っている。
ただ、このコスト面が問題となって、小説業界ではレーベルに類するようなものが
できにくくなっているんだろう、と想像してみます。
もし、このコスト面の問題がクリアされれば、
一気に小説でもレーベルの勃興、インディーズ化というのでは起こるのでは?
と考えています。
そこで、最近話題になっている電子書籍。
流通にかかるコストは、既存の書籍と比べて、かなり低く抑えられるはずです。
そうすれば、もっと簡単にレーベルを興したりもできるんじゃないのか?
そして、そこから新たなムーブメントも発生するのではないか?
と考えてみたりします。
もし、紙の書籍から電子書籍へのシフトが起こり、
電子書籍により新たなムーブメントが起こるとすれば、
それは、今、ライトノベルと呼ばれている分野か、
もしくは、純文学と呼ばれている分野じゃないか? と夢想します。
ラノベ作家は、兼業が多いので、売れる、ということを第一義に持ってくる必要がない。
#あくまで、作家個人で考えた場合です。
#現状ラノベは「売れること」が優先事項らしいので。
純文学も、もともとそこまで売れているわけではない。
#ごく一部をのぞいて。
ポップのエッジを極めたライトノベルと、
コアのさらに中心に潜っている純文学。
0=∞
この両者から、新しい動きは出てくるんじゃないでしょうか?