GOSICKを見た人にお勧めするミステリ

GOSICK―ゴシック (富士見ミステリー文庫)

GOSICK―ゴシック (富士見ミステリー文庫)

GOSICK-ゴシック-BD版 第1巻 [Blu-ray]

GOSICK-ゴシック-BD版 第1巻 [Blu-ray]

GOSICKもアニメになって、ヴィクトリカがかわいくてかわいくてかわいくてしょうがないので、仕方がないので、アニメGOSICKを見た人に勧めるミステリでもまとめてみようかと。
で、ミステリと言っても、ラノベっぽいミステリとか、日本の最近のミステリを勧めるのはたくさんあるだろうと思うので、本格黄金期を中心に!

  • J.D.カー

まずはやっぱりカー!
希代のトリックメイカー、密室の鬼、もう、いかなる賛辞を並べても尽きることのない、ミステリ史に燦然と輝く死兆星!(?)


桜庭一樹自身も、カーの生誕百年記念アンソロジーに参加したというのもあったり、最近だとあまり見ないかも、ですが、以前のインタビューとかだと、カーのファンだと言っていたりと、桜庭一樹──特にGOSICKを語る上では外せないのがカーですよ。
……黄金期の他の作家に比べると、いまいち知名度は低いかもしれないですけど。
というわけで、カーの前に、そのカー生誕百年記念アンソロジー

桜庭一樹は、「夜歩く」などのカー初期作品で活躍した名探偵アンリ・バンコランの少年時代……つまりはショタバンコランきゅんの活躍を描いた、このアンソロジーの中では、最もカーの雰囲気を色濃く出していたかな、と。夜歩く人面犬とか、華麗にして猥雑なダンスシーンとか、闇に浮かぶモンマルトルの情景などなど、とってもそそられる雰囲気たっぷり!
GOSICKを読んでみて、ミステリ読んでみようかな、という人にはお勧めです。


さて、じゃあ、そのカーのおすすめは? というと、まぁ、何をおすすめしようか迷ってしまうというのが、カーという作家の面白いところで、これはすごい傑作! というのがあったり、もう、どうしようもねぇなぁ……と苦笑してしまうような、愛すべき作品があったりで、カー自身がミステリ!
その中でも5作品なんとか挙げると、

  • ユダの窓

ユダの窓 (ハヤカワ・ミステリ文庫 6-5)

ユダの窓 (ハヤカワ・ミステリ文庫 6-5)

完全な密室の中で行われた殺人の嫌疑をかけられた若者のために、敢然と立ち上がった名探偵H・M卿! 果たして、『ユダの窓』とは!?
GOSICK好きなら、これはぜひ読んでもらいたい!
読んだら、いろいろと納得すると思います!

  • プレーグ・コートの殺人

プレーグ・コート──黒死荘、幽霊屋敷、降霊会、そして、完全な密室!
足跡も何もない密室の中、被害者のそばには、凶器と思われる呪われた短剣が……
カーを代表する名探偵、H・M卿の初登場作! これも、雰囲気とかたっぷりで、ぜひともおすすめ!

  • 白い僧院の殺人

白い僧院の殺人 (創元推理文庫 119-3)

白い僧院の殺人 (創元推理文庫 119-3)

雪に包まれた山荘での殺人。しかし、雪に残された足跡は被害者のもののみ……
"雪の密室"テーマの中でも、名作です。
これは、もう、ミステリとしてのトリックが素晴らしいのは当然のこと、恋愛ものとしても、とっても良いんですよ!
と、それにしても、このカーの生み出した名探偵H・M卿、名探偵でわがままで意地悪でわがままでだらだらしてて、まさにヴィクトリカ! いや、H・M卿は、ごろごろ美少女じゃなくて、太ったオヤジですけどね……

  • 火刑法廷

火刑法廷 (ハヤカワ・ミステリ文庫 5-1)

火刑法廷 (ハヤカワ・ミステリ文庫 5-1)

ミステリと怪奇の美しい融合!
最近は、いわゆるラノベでもミステリが多く出ていますけど、その中でよく見かけるのが、ミステリとしての現実的な解決とファンタジーとしての解決の両面を持たせるという手法。
その手法の傑作が、この火刑法廷です。
ラストで、だまし絵のようにそれまでの事件が反転するさまは、本当に美しい!

  • 皇帝のかぎ煙草入れ

皇帝のかぎ煙草入れ (創元推理文庫 118-11)

皇帝のかぎ煙草入れ (創元推理文庫 118-11)

これも、カーのベストに挙げる人がいるほどの傑作!
というわけで、カーは他にも、三つの棺とか、喉切り隊長とかとか、面白いものが多いので、とにかくおすすめ!

そして、やっぱりミステリの女王・クリスティも外せない!
ミステリものだと、ネタばれが怖い作家ベスト1に挙げる人も多いんじゃないでしょうか……
それくらい、今でも通用するようなミステリのトリックを生み出した、まさに女王!
というわけで、クリスティは、「これを読んでおくと、あんまりネタばれ気にしなくて良いよ?」というのを。

そして誰もいなくなった (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

そして誰もいなくなった (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

インディアン人形が消えるたびに、一人一人死んでいく……いったい、誰が犯人なのか?
これは、本当にいろんなところでネタばれされてもおかしくない!
なので、ネタばれされても怒らないか、ネタバレされる前に読むか!

オリエント急行の殺人 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

オリエント急行の殺人 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

豪華列車オリエント急行の中で発生した殺人事件。果たして犯人は? 怪しいのは誰だ?
これも、またいろんなところでネタバレされる!

アクロイド殺し (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

アクロイド殺し (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

とある村の名士が殺された! 果たして犯人は? 灰色の脳細胞、エルキュール・ポアロが挑む!
さて、これもまたネタばれされるというか、これ、ミステリでも有名なとあるトリックで、そのトリックについて語られるときにはだいたい出させる作品で、さらに、そこで名前を出したら、トリックも犯人もわかってしまうという、あまりにも業の深い作品で……
これも、トリックばらされても怒らないか、その前に読むといいと思うのです……

  • エラリィ・クイーン

そして、やはりエラリィ・クイーン!
本格ミステリの歴史の中では避けて通ることのできない、究極にして至高の存在!
国名シリーズなどで活躍する名探偵エラリィ・クイーンは、探偵としての存在そのものの意義にまでその思いを巡らし、悲劇シリーズで活躍するドルリー・レーンも、探偵とはなんなのか? を我々に問いかけてきます。
本格ミステリの中の本格ミステリにして、その存在意義にまで踏み込んでくるのが、エラリイ・クイーンなのです!
──いや、ぼくがクイーン大好き、というだけなんですけどね……
というわけで、クイーンのおすすめ!

  • ローマ帽子の謎

ローマ帽子の謎 (創元推理文庫 104-5)

ローマ帽子の謎 (創元推理文庫 104-5)

国名シリーズはもう10作すべてがおすすめなんですけど、とりあえずは名探偵エラリィ・クイーン初登場となるローマ帽子! クイーンと言えば、そのロジックの美しさというのが魅力なんですけど、1作目から、もうすでにその魅力がたっぷりと味わえます。

  • エラリィ・クイーンの冒険

エラリー・クイーンの冒険 (創元推理文庫 104-15)

エラリー・クイーンの冒険 (創元推理文庫 104-15)

そして、これでもか! というくらいに美しいミステリがたっぷり詰まった短編集!
クレバーで美しいロジックの芸術!

  • 九尾の猫

九尾の猫 (ハヤカワ・ミステリ文庫 2-18)

九尾の猫 (ハヤカワ・ミステリ文庫 2-18)

そんな探偵クイーンも、名探偵であるが故に、己の存在に悩みます。
そこらへんの凡百な探偵ではなく、名探偵の中の名探偵であるが故に、その悩みはとても深いです。
その、現代のミステリ作家でも思い悩むような、解き明かすことのできない問題というのを発見し、それに戦いを挑んだのは、やはりクイーンだからこそ!


というわけで、つらつらと挙げてみましたが、黄金期の本格ミステリはどれも素晴らしいので、ぜひ!