新年なのでウンベルト・エーコの永遠のファシズムを読みました。えいえんはあるよ、ここにあるよ

 新年ということで、自分も一国の宰相を見習って読書なんてしようと思ったんですけど、彼がドヤ顔で開陳していたのと同じ本を読むのは、かなり恥ずかしいかなぁ、と思ったので、お手軽に文庫を読もうと思ったんです。

 というわけで、「永遠のファシズムウンベルト・エーコ(和田忠彦訳)」を読みました。

 

永遠のファシズム (岩波現代文庫)

永遠のファシズム (岩波現代文庫)

 

 

 彼がもともと20年以上前に発言した内容をまとめた本であり、確かに、世界の情勢などは変わっているだろうし、イタリアや西欧と、現代日本で素直にそのまま比較はできないかもしれないですが、それぞれをある面に射影したものは、彼が本書に綴られている発言の中で鳴らした警鐘がすんなりと受け入れられるくらいに相似しているのではないだろうか? と思うわけです。
 特に、表題ともなっている「永遠のファシズム」や「新聞について」にて述べられている内容については、今の日本に照らし合わせても、思い当たる節があるのでは、と考えます。

 逆に考えると、彼が述べたような内容は、そこが過去、未来、洋の東西がどこであったとしても、どこか当てはまるようなものがあるのではないだろうか、人間が社会というものを営むにあたり、気をつけなければならない、陥る可能性がある危険のひとつなのではないだろうか、などとも思うわけです。

 例えば、一国の宰相が嘘と欺瞞と捏造からできたような本をドヤ顔で開陳したり、エンタテイメントでもそれとははっきりと言わなくても全体主義的な要素をたぶんに持った作品が、公共放送で夢と希望を歌ったりするような情勢の中で、自分はどういう態度、姿勢でいれば良いのか、というのを考えてみるのも、良いのではないかと思います。