音楽の幻想

音楽が世界を変えるだとか、言葉が通じなくても音楽で分かり合えるとか、そう言うのはまやかしだ。
誰が歌っても、何も変わることはないし、音楽で分かり合えることなんて、無い。
普通の人にとって、音楽というのはただ流れているだけのもので、決して特別なものではない。
音楽で分かり合える、というのなら、分かり合える二人とも音楽を特別なものだと思っていて、その部分で分かり合える、というのだろう。そして、それは音楽で分かり合えているというのではない。
もしかしたら、言葉は通じなくてもメロディだとかリズムは万国共通だという反論をする人がいるかもしれない。メロディもリズムも、決して共通的なものではなく、それぞれの民族が自分たちオリジナルのものを持っている、というのは説明しないでも良いですよね?
人類で最も普遍的なコミュニケーションは、音楽でも小説でも無くセックスだと思う。……まぁ、非常に主観的趣味的なものがはいるものだから、互いに分かり合えない場合も多いだろうけど。


それでも、私は音楽から離れなれない。
幻想だと分かっていても、だ。
今、粗悪な音楽が大量生産大量消費されていても、だ。
もはや、職人が作り上げるような極上の1曲ができあがることは望めなかったとしても、だ。
たとえ、どんなに屑だらけであったとしても、その中には、きっと自分が聴くことができる音楽があると信じているから。
百億の無の向こうに、一にも満たない絶望を。
その、あるかないかも分からない絶望。
それが、私にとっての音楽。

[Today's tune]Smells Like Teens Spirit/NIRVANA