剣の八(ジョン・ディクスン・カー)

剣(つるぎ)の八 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

剣(つるぎ)の八 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

そんなわけで、カーの新訳です。
はじめの方は、もうちょっといつものオカルティックな雰囲気になるかと思ってたんですが、別にそうでもなかったですね。というよりは、フェル博士以外にも探偵がいっぱいで、どちらかといえば推理合戦の雰囲気があって面白かったです。
推理合戦といえば、どちらかと言うとロジック中心のものが多いと思うんですが、はっきり言ってカーにはロジックというイメージはないんですよね。だから、本作も探偵がいっぱいではあるけれど、推理の競争と言うよりも、みんなでどたばたああだこうだと言い合っている、いつものカーのがやがやの雰囲気があります。
そのせいか、フェル博士以外の探偵役の登場人物が、皆一癖も二癖もあるようなやつばっかりで、これも、他の探偵がいっぱいものとは違う点じゃないかと。
まぁ、ぶっちゃけると、若干焦点がぼやけていて、取り立てて傑作というものではないかもしれないですが、それでも推理小説好きには十分楽しめるくらいには面白いです。
推理小説が好き、ミステリデビューしてみたんだけど、今のやつだけじゃなくて昔のも読んでみたい、最近の意味なく重いのばっかりじゃなくてさっくり本格を読みたい、という人にはお勧めじゃないでしょうか?