フィッツジェラルド短編集(フィッツジェラルド/野崎孝訳)

フィツジェラルド短編集 (新潮文庫)

フィツジェラルド短編集 (新潮文庫)

ジャズエイジ桂冠詩人、失われた世代、スコット・フィッツジェラルドの短編集です。
彼のことは、学校の文学史の教科書だとか、そういう場所で欲目にはするんですが、実際にそれを読んだことは、実はなかったり。……恥ずかしいことですが。


華やかさと、移ろう虚しさ。
求める「夢」と、望むようにならないことの切なさ。
描かれている世界は、煌びやかで、装飾にまみれているのに、どこか儚さを感じるのはどうして?
一番短くて、一番軽いはずの「乗継ぎのための三時間」のラスト、

しかし、人間の後半生というのは、いろいろなものを喪失してゆく長い過程なのであってみれば、今度の経験も格別どういうほどのことではなかったのかもしれない。

という文章が、心に響くのです。

[Today's tune]Paradise Lost/ART-SCHOOL