1000の小説とバックベアード(@新潮12月号)(佐藤友哉)

新潮に掲載された、ユヤタンの新作、370枚一挙掲載を読みました。
たぶん、小説を書くと言うことについて、現代作家で一位二位を争うくらいに自覚的であるユヤタンの新作です。
「片説家」を首になった主人公が、「小説」を書くまでの話です。
言ってみれば、それだけ。
けれど、たったそれだけのことに、これだけ悩み、苦悩する。
いよいよここに来た。
クリスマステロルで、小説を書くことの苦しみと、書きたい、という熱望を綴ったユヤタンが。
今、小説を書くという事実を、たったそれだけを、これだけの文章に昇華させた。
これが、小説だ。
これこそが、小説だ。
言葉を並べる。
それが、辞書に並べられているとき以上の意味を持ち、輝き出す。
それこそが、小説だと言ったのは、芥川だっただろうか?
ああ、これは、もうユヤタンの新たな代表作になるだろうと思う。
クリテロのように、絶望に満ちた終わりではない。
これからも、書いていく、という決意と希望に満ちた、これ以上はないくらいにアカルイミライ
というわけで、みんな読むと良いと思う。
あ、ちなみに、ボクはユヤタンを偏愛しているので。

[Today's tune]Anyone Can Play Guitar/Radiohead