緋文字(エラリイ・クイーン)

緋文字 (ハヤカワ・ミステリ文庫 2-2)

緋文字 (ハヤカワ・ミステリ文庫 2-2)

弱小ライトノベルサイトミステリサイトなので、ミステリの感想書きます。


ホーソーンの同名小説に題をとった、クイーンの名作です。
冗長に見える展開も、最後、謎が明らかになったときには、これがそうだったのか! と納得です。
大トリックも驚くような叙述も仕込まれていませんが、ロジックの展開は、さすがクイーン。


と、そのロジック展開。
きっかけとなるのは、あのダイイングメッセージなわけですが、これはちょっとずるいなーとか。
だって、文化圏が違うから、何のことかわかんないもん!
まぁ、そんなのは些細なこと、という読み方でも問題ないとは思うんだけど。


で、ここからちょっと外れた話。
俺の妹がこんなに可愛いわけがないの感想でも書いたんですが、
http://d.hatena.ne.jp/kazutokotohito/20080903#p2
小説の中で具体的なものを使うことで、キャラクターの性格付けをする、というのがあります。
俺の妹〜のときは書かなかったんですが、この手法を使うときに注意しなければならないことがあって、
それは、読む人がわかるものを使う、ということです。
具体的には、

彼女は本を読んでいた。

彼女は「ばけらの!」を読んでいた。

と書いても、「ばけらの!」を知ってる人なら、コアなラノベファンなんだなぁとか、もっと事情を知ってる人なら、やっぱり杉井光×支倉凍砂とか読んでるのかなぁ、と思うかもしれませんが、まったく知らない人にとっては、「ばけらの!」って何? で終わってしまうわけです。
そうすると、筆者の意図していた性格付けなどはできません。


この例の亜種が、緋文字でのダイイングメッセージなのかなぁ、と。


ちなみに、こういう細かいところじゃなくても、もっと大きな視点でも同じことが言えるかもしれない。
これってつまりは、書いてる側と読んでる側に「共通言語」があるかどうか、という問題な訳で、
ラノベ脳がない人にはラノベは読めないし、ミステリ脳がなければwktkする事件も退屈なだけ。
純文学なんて、どこを読んで良いのかわからない状態になっちゃうんじゃないかと。
で、このあたりをid:natume_yoid:sindenでやっているorやろうとしているorそんな方向になってきているのかなぁ、と。

[Today's tune]コンピューターシティ/Perfume