ファミリーポートレイト(桜庭一樹)

ファミリーポートレイト

ファミリーポートレイト

次はGOSICKの番だろう! と思いつつも、直木賞受賞後初の長編。


これは……とうとう踏み込んだか……と思う。
赤朽葉のようなスケール感や、私の男のような圧倒的なものはないんだけれど、
そのかわり、業──そう、業が感じられる。
小説を読むこと、そして、小説を書くことの業が。
その意味では、青年のための読書クラブに通じるものがあるのかもしれない。


南の方に隠れ住む異形の青年たち、文芸病棟の患者、
その病は決して治ることなく、深々と胸の奥に巣食い続ける。
黒く、内に籠るように爆発する情念。
一行ごとから、一語ごとから、一文字ごとから滲み出る澱のような思考。


あぁ、これは覚悟だ。

[Today's tune]Ripcord/Radiohead