猟犬(深見真)

猟犬

猟犬

続いて、ハードカバー/ハードボイルドなフカミン。


風俗嬢を狙った連続殺人事件、自動小銃を使った乱射事件、
その特異な事件を追う刑事も、特異な女警部補。
まさに、「猟犬」というタイトルの通りに印象的な登場人物です。


これ、ジーンズと同じ作者? と思ってしまうほどに内容は違いますが、
奥に流れているものは同じなんじゃないかな、と思います。
ジーンズの2巻でも、グアムの戦跡を訪れるシーンがあったりして、
ああ、この人はちゃんと戦争、暴力のことを考えているんだな、というのがわかったり、
猟犬でも、暴力を肯定/否定するのではなく、
そこにあるものとして「受け入れる」ことをしているんだなぁ、と。


他のフカミンに比べると、ジーンズも猟犬も、両方ともおとなしめなところはあります。
ジーンズは、しっかりと編集の人が検閲じゃなくて、しっかりと話しあってあまり濃い深見汁にならないように気をつけているのがよくわかるし、猟犬も、バカスカ銃を撃ったりはしていないし。
他のに比べると、性描写も控えめだし。
それでも、十分に読み応えがあるというのが、やっぱりストーリーのうまさと、安心して読める文章のおかげなんだろうなぁ、と。


ジーンズ2巻のあとがきで、ラノベ新人賞を目指す人へのアドバイスを書いていたけど、フカミンなら、そういう本、本当にいいの書きそうな気がしてるんだ……