もし「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」を読んだ人が大地震が起こった日本に住んでいたら

もしドラ」の販売部数がどれくらいかはおさえてないけど、NHKなどで特集が組まれたり、アニメになったりするんだから、たぶん相当の人が読んでいることと思います。
もしドラ」ってどういう話? っていうと、ひょんなことから高校野球のマネージャーになって本屋さんに行ってマネージャーのことを知ろうと思って買ったのがドラッカーの「マネジメント」で、え、それって経営のことについて書いていて野球のことは書いてないんだけど、でも、書いてある内容を高校野球に当てはめたらすっごく強くなったりしてしまったみなみちゃんがかわいい話です。
とりあえず難解に思える「マネジメント」を、非常にわかりやすく、離乳食レベルにまで噛み砕いて説明してくれるという、良い本です。


さて、この「もしドラ」は、「おおよそ組織という場所においては、ドラッカーの「マネジメント」で語られる内容が指針となり得る」ということを、高校野球を使って説明されているわけですが、でも、その内容は経営とか高校野球だけじゃなくて、今回のような大災害の場合、個人の行動に当てはめても十分通用するものだと思います。
本を読んだだけで満足するんじゃなくて、使ってこそ! だと思うので、ちょっと書いてみます。


まず、「もしドラ」で語られる「マネジメント」の内容をざっくりと簡単にばっさりはしょって説明してしまうと、

  • 顧客の求めるものを提供しろ
  • 各メンバの能力を発揮させろ

というところかなぁ、と。


「顧客の求めるものを提供しろ」というのを、今回の地震で当てはめると、「顧客=被災者!」と短絡的に考えがちです。もちろん、被災者の方への直接的な支援というのはとても重要で、だったら、直接現地にモノを送る! とかボランティア!ボランティア!とか言い出すような人がいそうだけど、そういう人は、とりあえず、1週間寝て落ち着け。
まぁ、阪神大震災などからの教訓で、無計画な物資、ボランティアなどは、かえって邪魔になる! という情報が行き渡っていると思うので、今更そんなバカなことをするようなバカはいないとは思うけど。
ただ、「顧客=被災者」というのは、だいたい普通に考えたらそうだよなぁ、と納得してしまうものだと思う。


でも、ちょっと待って欲しい。
本当に顧客は被災者だけなのか? とちょっと考えてみて欲しい。


ちょっと話が外れるけど、今回被災した知り合いに、もうすぐ子どもが産まれるという夫婦がいる。それ以外にも、避難所で出産、という報道もあった(ような)気がする。
先祖から代々生活を営んできた土地を未曾有の大災害が襲い、そこで、次の世代へと引き継がれようとしている。
土地は、街は、国──日本は、こんな大地震があろうとも、連綿と繋がって行く。


つまり、どういうことかと言うと、今回の顧客というのは、被災者だけではなく、被災した街、県、そして、この日本という国そのものなんじゃないか? と思うわけです。


それでは、その「顧客」が何を求めているのか?
それは、「ついこの前まで送っていた日常」「続いて行く明日」だと思います。
特別な何かじゃなくて、日常。
例えば、みんなで遊んだりとか、仕事したりとか、帰りに飲みに行ったりとか、そういう日常。


次に、「各メンバの能力を発揮させろ」という点についてですが、この場合のメンバとは、もちろんぼくたちのように、被災地外に住んでいる人たちのことです。
つまり、ぼくたち自身が、自分で自分の能力を発揮して、顧客の求めるものを提供するためにはどうすればいいのか? を考えればいいんじゃないでしょうか。
だから、特別な何かをするんじゃなくて、日常、毎日やっていることを、淡々と愚直にでも続けて行けば、それが、きっと、誰かの役に立つはずです。


すでに、政府関係者、東京電力東北電力(えここ!)、自衛隊、医療関係者、鉄道会社、流通業者、小売店、金融機関、そして、海外からも空母ロナルド・レーガン揚陸艦ブルーリッジをはじめとするアメリカ海軍第七艦隊をはじめ、各国から多くの有形無形の援助が送られています。
例えば、#prayforjapanでtwitterを検索すると、世界中が日本のために祈っているのが見えます。


その祈り、援助を糧に、救援に来てくれた世界の人たち、東北を助けようと努力している人たち、そんな人たちを助けるために、日常をまわしていくのも、またひとつのかたちの援助なんじゃないか? って思うのです。


とりあえず、東京電力の節電の呼びかけを「ヤシマ作戦!」と言い出した人はGJって思いますが、個人的には、涙目の上目遣いで電気をねだるえここもいいと思います。