今年のまとめ その4 コミック編

確認して思ったんですが、例年通りと言うべきか、あんまり読んでないね。
合計して50冊弱。
その、少ない中から印象に残ったもを挙げていこうと思うです。

デトロイト・メタル・シティ (1) (JETS COMICS (246))

デトロイト・メタル・シティ (1) (JETS COMICS (246))

まず、今年のマンガはこれをなくして語ることはできません。
デスメタルという、普通の人とはほとんど接点がないと言っていいジャンルを扱っているのにもかかわらず、ネット界を中心に大きな話題をさらい、ついにはタワレコでイベントが開かれるにいたる始末。
ひとりの純朴な青年が、地獄の帝王クラウザーさん(様じゃなくてさんなのがミソ)として覚醒していく過程を描いた、一大叙事詩です。
──目指すは、来年の紅白出場。
NHKで、公開SATSUGAIだ!

それでも町は廻っている 1 (ヤングキングコミックス)

それでも町は廻っている 1 (ヤングキングコミックス)

ご町内ほのぼのメイド喫茶ストーリー。
いや、メイドの服は着ているけど、別に、メイド喫茶マンガというわけじゃなくて、普通のコメディになっているような感じです。
ただ、それだけじゃ終わらないのがこのマンガの良いところ。
たまに挿入されるミステリ、SF風のストーリーが光っています。

幻想主義 (カドカワコミックスAエース)

幻想主義 (カドカワコミックスAエース)

ゲーマーズでタイトル&ジャケ買いしたコミックです。
ちょっと、ご都合主義的な感じもしますが、セカイ系と言われるものも、ここまで消化されるようになった、というのに気がついたので。

武装錬金 (10) (ジャンプ・コミックス)

武装錬金 (10) (ジャンプ・コミックス)

今年、堂々の完結の武装錬金
まさか、アニメ化されるなんて思ってなかった!
蝶野という稀代のダークヒーローを産み出した、和月の奇想に拍手。
いやぁ、るろ剣の完全版も出ていますが、もう、それからどれくらい面白くなったんだ、と。

これも、セカイ系前後というものを考えるときに、欠かせない作品だと思う。
シリーズ3巻の発売も予定されているので、要チェックです。

ヨイコノミライ完全版 1 (IKKI COMICS)

ヨイコノミライ完全版 1 (IKKI COMICS)

今年は、というか、今年も創作というものについて考えることが多かったんですが、これはほんと、読んでいて、突き刺されているような、えぐられているような感覚。
一度でも、創るということを考えたことがある人には、ぜひ読んで頂きたいです。

げんしけん (9) 限定版

げんしけん (9) 限定版

今年完結編がでたげんしけん
オタクの生態を克明に描きつつも、作者の特徴でもある、痛い青春も描いた、多分後になっても語られる作品になると思います。


あとは、それ町以外にも、会長はメイド様!藤原ヒロ)、メイド諸君!きづきあきら+サトウナンキ)など、メイド系マンガがたくさんあったと思います。
会長はメイド様! (1) (花とゆめCOMICS (2986))

会長はメイド様! (1) (花とゆめCOMICS (2986))

メイド諸君! (1) (ガムコミックスプラス)

メイド諸君! (1) (ガムコミックスプラス)

そのなかでも、やはり、エマ(森薫)の完結というのが大きかったと思います。
エマ (7) (Beam comix)

エマ (7) (Beam comix)

現代日本に跳梁跋扈する、メイド喫茶のメイドではなく、大英帝国ヴィクトリア朝時代を舞台にした、本物のメイドの、ラブロマンス。
これが、本当のメイドなのです。


あとあと、最後に一言触れた方が良いのか悪いのかわかりませんが、触れずにはいられない。百合星人ナオコサン
百合星人ナオコサン (1) (Dengeki Comics EX)

百合星人ナオコサン (1) (Dengeki Comics EX)

読めば、頭の中が電波になります。
みんな、Let's 電波!

文明の憂鬱(平野啓一郎)

文明の憂鬱 (新潮文庫)

文明の憂鬱 (新潮文庫)

平野啓一郎というのは、やはり、現在注目すべき作家のひとりであると思う。
ウェブ人間論を読んで、小説以外の平野啓一郎も見たくなって、読んでみました。
あとがきでも書かれていますが、元は2002年の刊行と言うことで、特にネット関連の話題では、状況も変わっているし、彼自身の考え方というのも若干変わってきている気がします。
ただ、それは悪いことじゃなくて、むしろ、これだけ劇的に変わりつつあるものを前にして、ずっと変わらぬ態度でいることの方が不健全だと思うのですが、いかがでしょうか?
作家のエッセイ集と言えば、中堅どころの中年作家が、ほかの人にはどうだって良いような食べ物の好みだとか、そんなことをだらだらと書く、というイメージが、特に純文系の作家にはあるんですが、これはそんなことはなく、その時々でまさに起こりつつあることを、非常に優れた見識と、洞察力で読み取っていきます。
作家としては、若い部類に入る平野啓一郎ですが、ロボットとかの話題になると、ちょっとボクとは差があるなぁ、と。
まぁ、この差が5年という世代の差なのか、それとも、個人的な差なのかはわかりませんが。
AIBOASIMO、臓器移植の話題とかで、ちょっと違和感を感じました。
個人的には、ロボットも人間もかわんないんじゃね? という意識が以前からあります。
今だと、ロボットよりはコンピュータになりますけど。
昔の人は、遠くの親戚より近くの他人と言いましたが、遠くの人間より膝の上のコンピュータ、と言った感じ。
特に、iBookを使い始めてから顕著に感じるようになったんですが、もちろん、道具としての使いやすさだとか、そういうものは重要なんですが、それ以上に愛情を感じるようになったというか。
──病んでるだけ?
でも、その昔から、人は小説の登場人物に、映画のヒロインに、アイドルに、そして、今では2次元に、様々なものに愛情を感じてきました。
それを、萌えと呼ぶのかも知れない。
はっきり聞きます。
2次元に萌えるのと、3次元のiBookに萌えるのと、どうちがうのか?
……答えは、どっちもキモイ、だな。

[Today's tune]Love Like Winter/A.F.I.