文明の憂鬱(平野啓一郎)

文明の憂鬱 (新潮文庫)

文明の憂鬱 (新潮文庫)

平野啓一郎というのは、やはり、現在注目すべき作家のひとりであると思う。
ウェブ人間論を読んで、小説以外の平野啓一郎も見たくなって、読んでみました。
あとがきでも書かれていますが、元は2002年の刊行と言うことで、特にネット関連の話題では、状況も変わっているし、彼自身の考え方というのも若干変わってきている気がします。
ただ、それは悪いことじゃなくて、むしろ、これだけ劇的に変わりつつあるものを前にして、ずっと変わらぬ態度でいることの方が不健全だと思うのですが、いかがでしょうか?
作家のエッセイ集と言えば、中堅どころの中年作家が、ほかの人にはどうだって良いような食べ物の好みだとか、そんなことをだらだらと書く、というイメージが、特に純文系の作家にはあるんですが、これはそんなことはなく、その時々でまさに起こりつつあることを、非常に優れた見識と、洞察力で読み取っていきます。
作家としては、若い部類に入る平野啓一郎ですが、ロボットとかの話題になると、ちょっとボクとは差があるなぁ、と。
まぁ、この差が5年という世代の差なのか、それとも、個人的な差なのかはわかりませんが。
AIBOASIMO、臓器移植の話題とかで、ちょっと違和感を感じました。
個人的には、ロボットも人間もかわんないんじゃね? という意識が以前からあります。
今だと、ロボットよりはコンピュータになりますけど。
昔の人は、遠くの親戚より近くの他人と言いましたが、遠くの人間より膝の上のコンピュータ、と言った感じ。
特に、iBookを使い始めてから顕著に感じるようになったんですが、もちろん、道具としての使いやすさだとか、そういうものは重要なんですが、それ以上に愛情を感じるようになったというか。
──病んでるだけ?
でも、その昔から、人は小説の登場人物に、映画のヒロインに、アイドルに、そして、今では2次元に、様々なものに愛情を感じてきました。
それを、萌えと呼ぶのかも知れない。
はっきり聞きます。
2次元に萌えるのと、3次元のiBookに萌えるのと、どうちがうのか?
……答えは、どっちもキモイ、だな。

[Today's tune]Love Like Winter/A.F.I.