モーツァルトは子守唄を歌わない(森雅裕)

モーツァルトは子守唄を歌わない(森雅裕)」読了。
乱歩賞受賞作家でありながら、多分今のミステリの流行からは少し遠いところにいる森雅裕先生が、私は好きです。
……って、いったい何を口走っているのやら。
しかし、そういう感想がつい口をついて出るような良い小説でした。

舞台は19世紀初頭のウィーン。
主人公に楽聖ベートーヴェン、そのお供にチェルニーシューベルト
彼らが天才モーツァルトの死の謎に迫っていく……
という筋書きで面白くない訳が無いじゃないですか。
で、何より登場人物が皆、良い感じに動いているんです。
それぞれ、十分に魅力的に描かれていると言うか。
もちろん(?)あとがきで述べられているような欠点はあります。
が、それを十分に補ってあまりある良さがあるんじゃないでしょうか。

とりあえず、森雅裕の本が書店でほとんど見られないというのは、絶対におかしな事態だと思います。
別に、信者というほど好きではないですけど、絶対に面白い小説を書く人だというのが分かっているので、もっと気軽に買えるようになってほしいんです。
わざわざ古本屋を漁ったり(作者に色々と行かないのでできれば避けたい)
ネットで注文したり(面倒なので、できれば避けたい。というより、本はできれば書店で思いついたときに買いたい)
ということはちょっと……なので。
それにしても、乱歩賞受賞作でさえ「幻コレクション」として出版されているという事実を、各出版社は重大に受け止めてほしいような。
……まとめると、もっと読ませろっ! という事で。
こんなに売ってないんじゃ、人に勧められないし。




で、確かモーツァルトは子守唄を歌わないって、コミックになってませんでしたっけ?

[Today's tune]Symphony No.9"Choral"/BEETHOVEN