法月綸太郎の功績（法月綸太郎）

「法月綸太郎の功績（法月綸太郎）」読了。
ぜったい……大丈夫だよ、
というわけで、法月綸太郎の功績です。
さすがは協会賞受賞、非常に良いです。
あ、冒頭のちょっと分かる人にはわかるっぽい言葉は、法月がいれば本格は、というよりもロジック派は大丈夫だよ、という事です。無敵の呪文です。
それほどに、本格ミステリ分補給。
では、まずは「イコールYの悲劇」から。
途中に挟まれる「黄色い部屋はいかに改装されたか？」が全てを表しているんじゃないかと。
しかし、これが収録されていたアンソロジーの中では一番良かったんじゃないかと。
……まぁ、他のがあれだったというのもあるんですが。
「中国蝸牛の謎」。あとがきにある通り、確かに後半急ぎ過ぎと言うか唐突な感じがするのは否めません。
しかし、この最後の一言のメタっぽさがいい味を出しているんじゃないかと。
「都市伝説パズル」。さすが受賞作、良いです。
アームチェアディテクティブということで、中国蝸牛のようにばたばたとする事もなく。
真相はそれほど複雑なものじゃないですが、そこへと至る道筋が非常に良いのです。
つまりは、解決の意外性などというものよりも、純粋に推理というものが浮かび上がってるんです。
まさにこれこそがミステリの骨子そのものではないでしょうか。
で、「ABCD包囲網」これは解決の意外性ありで。
ミッシングリンクの処理が非常に良いと思います。
もちろんそれだけでなく色々な要素が組み合わさっている訳ですけど、そのバランスが非常に良いなぁ、と。
最後の「縊心伝心」なかなかに隙をつかれたというか、盲点を突かれました。


ところで、どうして図書館シリーズはないのでしょうか？
それが若干不満であります。
というより、親父よりも穂波をだせ、と。
図書館問題とか難しいところが出てくるのは良いから、なんとか……
……萌えてるわけじゃないですよ、きっと。

[Today's tune]アカイヤミ/THE BACK HORN