ブルースカイ(桜庭一樹)

ブルースカイ (ハヤカワ文庫 JA)

ブルースカイ (ハヤカワ文庫 JA)

これを読んで、どうして自分があそこまで「少女」というもの、「百合」というものに惹かれるかがやっとわかりました。
つまりは、こうだったんだな、と。
「少女」に値する存在がなかった中世。
「少女」に値する「青年」がいる未来。
そして、「少女」な現代。
そうやって考えると、今にも「青年」はいるだろうし、「少女」を経ずに大人になる人もいるだろうし。
きっと、自分はその「少女」という概念に惹かれているんだろうと思う。
ちょっと前ならモラトリアムと言ったかもしれない状況。
でも、猶予期間というのとは明らかに違う。
いつまでも大人になりたくない、というわけじゃない。
考えてみれば、モラトリアムという言葉が一般的になったのは、1980年前後にとある本の中で言われてから。
それからもう20年以上たってます。
あの頃と、世界はずいぶん違ってしまっています。
逃げているわけじゃない。
強く、強い引力で「それ」に惹かれているだけ。
その惹かれている状態というのが、2022年のシンガポールでうまく描かれていると思いました。