フォア・フォーズの素数(竹本健治)

フォア・フォーズの素数 (角川文庫)

フォア・フォーズの素数 (角川文庫)

竹本健治の書く小説のジャンルはとても広いけれど、どれも竹本としか言えない風味がありますね。端正な本格から不条理なホラー、美しいSFまで。
私にとって、表題作は間違いのなく美しすぎる本格ミステリであり、逆に本格ミステリのシリーズであるはずのチェス殺人事件はまごうことなきアンチ・ミステリです。
思えば、竹本健治のデビュー作は、あのハコ(漢字でない)の中の失楽だったし。


そういえば、竹本健治というのは「少年」というテーマを描くのがうまい作家ですね。
本格ミステリが持つ純粋さと、アンチ・ミステリが見せる暗黒の片鱗。
その境目に立つのが、きっと少年という存在なんだと思う。

[Today's tune]Seagull/Ride