導きの星(小川一水)

導きの星〈1〉目覚めの大地 (ハルキ文庫―ヌーヴェルSFシリーズ)

導きの星〈1〉目覚めの大地 (ハルキ文庫―ヌーヴェルSFシリーズ)

導きの星〈2〉争いの地平 (ハルキ文庫―ヌーヴェルSFシリーズ)

導きの星〈2〉争いの地平 (ハルキ文庫―ヌーヴェルSFシリーズ)

導きの星〈3〉災いの空 (ハルキ文庫―ヌーヴェルSFシリーズ)

導きの星〈3〉災いの空 (ハルキ文庫―ヌーヴェルSFシリーズ)

導きの星〈4〉出会いの銀河 (ハルキ文庫―ヌーヴェルSFシリーズ)

導きの星〈4〉出会いの銀河 (ハルキ文庫―ヌーヴェルSFシリーズ)

SFで異星人といえば、地球人類よりも高度な文明を持っているというパターンが多かったりしますが、これは地球人類が他の惑星の、未発達な文明を守り育てていくというもの。
主人公・辻本司が見守ることになったのは、惑星「オセアノ」の「スワリス」と「ヒキュリジ」。時をこえて見守る司とオセアノの文明、そして地球文明そのものの行方は? と、はじめから終わりまでスケールが大きいなぁ、と思いつつも、話が大げさにならないのは、まぁ、そういう雰囲気なので。
やはり、4巻も続くシリーズとなると、だんだんと登場人物に感情移入してしまうのは仕方のないことだとは思うんですが、このシリーズの面白いところは、人間である司よりも、見守られる文明──スワリスとヒキュリジたちの方に感情移入してしまうところです。
地球人類とは違う種族である彼らは、当然精神構造など違いますが、それでも、実際に生きている、というのをこれでもかと実感できるように、生き生きと動いているので。キチョルとチチュカの悲恋、バリッノ・エオッノの冒険、フェチカ2世とジャゼリの戦争、クラリコの好奇心、トッコとティホの悲劇、そして、星々の海へと飛び出していく彼らと、困難で、けれども力強い決断をしたチキ。
誰もが、生き生きと「主体的に」描かれているからなんだろうなぁ、と。
……いや、決してクラリコたんめんこいとかチキたんかわいいとか、ああ、もうなんだこのまるまるふこふこ具合はっ! 特に、この左耳がぴょこって折れてるのがもうたまらないですよ。
というわけで、面白いですよーということで。

[Today's tune]実弾 (Nothing's Gonna Syrup Us Now)/Syrup16g