コラプシウム(ウィル・マッカーシイ)

コラプシウム (ハヤカワ文庫SF)

コラプシウム (ハヤカワ文庫SF)

そんな何もやる気がない日には、よく分からないSFを読むのに限ります(ぇ
後ろの紹介文では、SFで本格ミステリで、さらには美少女ピンク髪ツインテール絶対領域装備の捜査局長という、一部の方々にハァハァな内容だったはずなんですが、実際のところは、そんなことはなく。いや、ミステリ的には面白いだろうなぁ、という仕掛けというか道具だったんですが、いかんせん、作者がそっち方向に持っていこうという意志がカケラもないようで。難事件を解決とは言いますけど、別に殺人事件をうまく解決したわけじゃないしなぁ、とか。<ファックス>の発想というのは本当に面白くて、人間の複製までがつくれてしまうというのは、ミステリとして考えたときにも、とても興味をそそられるもので、実際、作中でも殺された人物が、自分でそれを確認するという場面があるわけですが、それだけでもぞくぞくしてしまうんですよね。
そのあたりから、自分というものの存在というか、自己同一性というか、そういう方向にうまく持っていってもらったなら、もっと自分の好みだったんだろうなぁ、とか。
まぁ、はっきり言うと、表紙にまで持ってきてるんだから、もっとヴィヴィアンたんの出番を増やして、もっと萌え萌えにしてしまえば良いと思う。
いや、もちろん、こういう表紙にしたのは翻訳元の早川だということとか、本国版の表紙は違うものだろうということは分かってるんですが、そこは、ほら、あの、言っておかなきゃいけないことってあるじゃないですか? ……最低だ。
あ、もちろん、ヴィヴィアンたん以外の登場人物が魅力的で面白いというのもありましたよ。
個人的には、ブルーノのコピーのマッディが良かったなぁ、と。
とにかく、ちゃんとしたSF者でない私からすると、<コラプシウム>をはじめとする道具立ての数々だけでも、十分にSFに思えてしまって、満足できてしまうんですが、本当のSFの人たちにすると、いかがなんでしょうかね?

[Today's tune]You Spin Me Around (Like A Record)/Kink's