スイス時計の謎(有栖川有栖)
- 作者: 有栖川有栖
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2006/05/16
- メディア: 文庫
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「あるYの悲劇」は、前に何かのアンソロジーで読んでたんですが、改めて読んでみても結構面白かったです。ネタを知っているわけなんで、真相が明らかになったときの驚きというのはなかったわけですが、その分いろんなところに目がいったというか。ミステリはトリックとかが分かってしまったら面白くないという人がいるかもしれませんが、実はそこに至るまでの過程こそが、面白いところなんだよっと。
「女彫刻家の首」は、あとがきで本人も書いているように、生首に聞いてみろISBN:4048734741/法月綸太郎と同じようなモチーフ。これは、ラストが非常に印象的でした。
「シャイロックの密室」は、倒叙形式の密室もの。
もうちょっと犯人と火村の対決に緊迫感があった方が面白かったのかなぁ、とか。
とりあえず、この作品で、何となくミステリというものにおける、ワトソン役の重要性というのを強く感じました。
「スイス時計の謎」表題作です。
あー、これは良いですね。
個人的で、極端な意見なんですが、ミステリで証拠というのは実はそれほど重要ではないと思います。
論理の組み立てる元となるような証拠は必要ですが、完成した論理であるなら、それ以上の証拠などはいらないんじゃないかと。
それが、まさにこれです。
そして、解説で触れられていることですが、
ロジックが世界を支配する本格ミステリ
ってとっても良いフレーズですね。
このワンフレーズが、有栖川有栖のミステリに対する思いを表しているんだろうなぁ。
なんだかんだ言って、結局私、有栖川有栖好きです。
[Today's tune]Rock 'n' Roll Lies/Razorlight