涼宮ハルヒの退屈（谷川流）

涼宮ハルヒの退屈 (角川スニーカー文庫)

野球をやったり七夕したりコンピ研の部長探したり孤島殺人が起こったり。
この中でアニメでやってないのは七夕だけですね。
ミステリ者的には、やはり孤島症候群に触れなければいけないのかな？　とも思いますが、どうなんでしょうか？
とりあえずは、ミステリっぽいけどミステリじゃない、という感じがしました。
確かに、作者はミステリをよく知っているし、ミステリについても一定の見解を持っているとは思うんですが、それでも、いや、だからこそ、あえてミステリにしなかった、というような。
その辺りは、もちろん作者の言葉があるわけではないので断定はできませんが。
そんなわけで、少なくとも孤島症候群については、ミステリ的に読み解くことはできても、実際にミステリか？　というのには首をかしげざるを得ません。
まぁ、ミステリの範囲なんてたぶんに恣意的なものなので、それこそ冒険小説あたりまでミステリに含めてしまうような定義を使ってしまえば、これだった全然ミステリなわけですが、個人的に考えるところのミステリのコア──本格ミステリというものではない、ということで。
もっとはっきり言ってしまうと、退屈のハルヒ、笹の葉ラプソディの朝比奈さんと長門さん、ミステリックサインの長門さんに比べれば些細な問題で、無視してしまって良いと思うんですが、いかがでしょうか？
しかしながら、普通は小説からアニメになると、含まれる情報量というのは激減してしまうと思うんですが、涼宮ハルヒシリーズについては、その限りじゃないなぁ、と。
ミステリックサインでそれを感じましたよ。
小説でも良いラストシーンではありましたけど、アニメ版で、実際に長門さんが読んでいる本に神林長平を持ってきた選択は完璧と言って良いんじゃないかと。
あの１冊が、キョンの独白の内容を何よりも雄弁に語っていました。
そして、何よりも静かにページをめくる長門さんに萌え？

[Today's tune]God knows.../涼宮ハルヒ (平野綾)