バッキンガム宮殿の殺人(C・C・ベニスン)

バッキンガム宮殿の殺人 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

バッキンガム宮殿の殺人 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

たまには海外ミステリも読もうという趣旨。
……決して、主人公がメイドさんというのが理由じゃないですよ? そのあたり、はっきり言っておきます。
世界でも最も高貴な人のひとり、英国女王陛下がお住まいになるバッキンガム宮殿の中、それも主たる女王陛下の目の前で使用人が死体で発見される。その謎を探るのは、カナダ人のメイドさんと、女王陛下その人。次々と連鎖していく人間関係に、謎の鍵を握るエドワード7世の日記盗難事件。
そして、「あの場所」で「あのお方」が関係者全員を集めての事件解決!
あー、この場面だけでも面白かったです。まさに、という感じだもんなぁ。
もちろん、そこに至るまでも面白かったです。
実際、それほど期待してなくて、とりあえずメイドだから、という理由くらいでしか読まなかったわけですが、意外に良かったなぁ、とか。
メイドさんと言えども、そこはカナダ育ちの現代っ子。三つ指ついて「ご主人様」というわけじゃなくて、あくまでお仕事でお掃除とかしてます、という感じ。だから、メイドさん、というよりは家政婦は見た? 主人公が、良く動くから、全体的にテンポ良く流れてるんですよね。
それほど重い感じもなく、さっくりと読んでいけます。
ただ残念なのは、やはりどうしても英国王室というものに私が慣れていないこと。
女王陛下がどういうものなのか? というのがしっくりとこないんですよね。
日本での天皇陛下に対するものとは、やっぱり違うと思うし。
そういう文化的な違いというのは、海外物を読むときにはどうしても避けては通れない問題だとは思います。
そんなわけで、女王陛下が登場するミステリ、というよりも、魅力的な主人公(メイドさん)が活躍するサスペンスミステリ、と言った方がぴったりな感じでした。
ちなみに、表記が「メード」じゃなくて「メイド」になっているのが個人的には評価高し。
……メイドづくしな日記だな、おい。

[Today's tune](When You Wake) You're Still in a Dream/My Bloody Valentine