カオスコープ(山田正紀)

カオスコープ (創元クライム・クラブ)

カオスコープ (創元クライム・クラブ)

もしかして、初山田正紀かも。
曖昧な記憶しかない小説家。電話で相棒に話しかける刑事。
カオスコープという名のカフェ。いくつかの奇妙な死体。
そして、万華鏡連続殺人。
折り重なるようにして紡がれる記憶。
いったい何が現実なのか?
それすらも、曖昧に。
追う側も、追われる側も、虚ろ。
いや、彼らが追われているのか、それとも、追っているのかも曖昧に。
本当に混沌としかいいようのない雰囲気ながら、全体的なイメージとしては、そう、万華鏡──カレイドスコープのような透明感ときらめきが。
じりじりと、導火線を炎が進むようにして、最後の1行へと向かっていく。
あー、どうやって面白いって言えばいいのか?
それが本当に難しい。
最近のベストセラーのように、簡単じゃないので。
……全ては、幻想の中にあるのだろうか?