乱鴉の島(有栖川有栖)

乱鴉の島

乱鴉の島

あー、もう、だから、有栖川有栖好きだって言ってるじゃん!
だから、できれば学生シリーズの続きを……とは思いつついるものの、火村シリーズでも大満足。
しかもあれですよ。孤島ものですよ。孤島もの。
今まで、月光ゲームをはじめ、クローズド・サークルはいくつも書いている有栖川有栖ですが、孤島というのははじめて。
やっぱり、本格といえば孤島ですよ!
でもそこは有栖川。
繰り広げられるのは、横溝のようにおどろおどろしい事件ではなく、整然としたロジック。
けれど、それは、ある種狂気に彩られていた。

過度にに合理的・論理的であろうとすることは、狂気に至る道
P.137

ああ、この一文だけでも、この本を読んだ意義があろうというもの。
これこそが、「本格」ミステリの目指すべき境地なんじゃないだろうか。


最近のライトノベル三大奇書についてのエントリの中でも言及していたように、この「過度」というのがジャンル小説の目指すべき、そして、決して到達してはならない最後の目標なんだと、漠然と思っている。


それで、話をミステリに戻すと、この、論理(ロジック)というのは、一般的な感覚で言うと、無味乾燥、情緒の欠片もないようなものに思えるけれど、ミステリの論理というものは、極めて感情的なものになっていると思う。
だから、純粋な意味での論理というのではなく、論理に情緒のからみついた、奇形のようなものなのかな。
事実をクレバーに突き詰めていくけれど、最終的な到達点は、悲しくて優しくて。
だから、ミステリが好きなのかもしれない。

[Today's tune]New Born/Muse