美しい都市・醜い都市 現代景観論(五十嵐太郎)

美しい都市・醜い都市―現代景観論 (中公新書ラクレ)

美しい都市・醜い都市―現代景観論 (中公新書ラクレ)

何となく面白う、と思って買ってみた。
いや、教養のないボクですが、ちょっと都市とか建築とかそっちの方には興味があるので。
「美しい」街並みってなに? という素朴な疑問を考える上で、十分助けとなる本です。
読んでみて、あー、やっぱりな、と納得したり。
日本橋と首都高について触れられている章が、特に良かったです。
個人的に考えていたことが、やっぱりそうだったんだな、と。
ええと、現在日本橋の上には首都高が覆い被さっています。
それを地下に通してしまい、日本橋の上に空を取り戻そう! なんてプロジェクトが進んでいます。
はっきり言うと、これほど愚かな計画はない、ということで。
ほんと、ほぼ毎日のように日本橋とその上の首都高を見ていますが、アレが醜い風景だとは思えないのです。
いったい、あの首都高をなくしてどうしようというのか?
なぜアレをどけなくちゃいけないのか? と言う問いに推進派は、「景観」と答えるんだろうけど、だったら、あの周りの街並みは?
むしろ、日本橋の貧相な実態が白日の下にさらされるだけじゃないのか? と。
暴言を吐いてしまうと、首都高のない日本橋なんて、見られたもんじゃないですよ?
アレが、世界に誇れる日本の橋なんて、間違っても言うことができません。
だったら、誇れるような橋にするのか?
あんな狭い、汚れきった川には、どんな橋を架けたって無駄だろう。
個人的見解を述べさせてもらえば、首都高ですらまだたりない、と思っているのに。
何層にも重なるハイウェイ。両脇には天を突き刺す摩天楼。
そんな、どこかSFにも通じるような光景が見たいのです。
残業の合間、屋上でひと休みしているとき、日本橋と首都高を見ながらそんなことを考えています。