ビロードの悪魔(ジョン・ディクスン・カー)

ビロードの悪魔 (ハヤカワ・ミステリ文庫 カ 2-7)

ビロードの悪魔 (ハヤカワ・ミステリ文庫 カ 2-7)

ある毒殺事件の謎を暴くために、悪魔と契約してときをさかのぼった教授。
若い貴族の身体に宿った彼の、波乱の冒険。
彼は、殺人を防ぎ、彼女を守ることができるのか?
そして、政治の世界でも、未来を変えることはできるのか?
と、まるで、それなんてラノベ? というストーリーですが、カーです。
そもそもが、カーと言えば密室! トリック! オカルト!
という印象で語れれる場面が多いですが、実際のところは、そういうものよりも、卓越したストーリーテリングの方が特徴なんじゃないかと思います。
淑やかにして、燃え上がるような恋愛模様や、凄絶にして、血湧き肉躍る剣戟シーン!
もう、久しぶりに小説の中にぐいぐいと引き込まれていきましたよ!
どれくらい引き込まれていたかというと、電車の中で読んでいて、降りる駅を乗り過ごしてしまうくらいに。
後半、どんどんと盛り上がって行くに連れて、ほんと、目を離せない展開に。
あぁ、この興奮を伝えられないなんて、ボクはどうして貧弱な言葉しか持っていないんだろうか?
とりあえず、読んでみると良いと思う。
ほら、今年はカーの生誕百年。来年は没後30年だしね。