アキハバラ(今野敏)

アキハバラ (中公文庫)

アキハバラ (中公文庫)

タイトルが「アキハバラ」だから買ってみた。
若干の後悔。
元が2001年と言うことで、内容の古さに何とも言えないものが感じられます。
まぁ、まさかここまで急激に秋葉原が変わってしまうとは、作者も考えてなかっただろうけど。
萌都になるまえの、古き良き秋葉原の姿が、この小説にはありました。
……ボクも、その時期は知らないけどな!
そんな、電気とコンピュータの街・秋葉原を舞台に、上京したての学生、パーツショップのアルバイト、地上げ屋のヤクザ、中近東のスパイ、在日、ロシアンマフィアと、様々な人たちがそれぞれ考えもしなかった状況に巻き込まれていく、ジェットコースターノベルです。
思いっきりぶっちゃけてしまうと、別にアキバじゃなくてもよかったんじゃね? と思ったりもするけど、それはそれ、と言うことで。
とりあえず、サクサクと読めます。
ハリウッドのアクション映画とか好きな人にはお勧めかも。


さて、まず、突っ込んでおきたい。
UNIXとか言っておけばそれでハッカー気取りか? と。
C言語使いって、そんなすごいハッカーならアセンブラとか書いてろっ! とか。
UNIX使いとか言ってて、結局は「Windowsで再起動して……」って、UNIX使ってないじゃん!
しかも、ネットワークで繋がっててドライブを共有してて──って、どうしてドライブ共有してる必要がある?
同じネットワーク繋がってたら、ドライブ共有してなくても、中見るの、結構簡単なんだけどなぁ。
まぁ、Windowsという制約はあるけど。
そんなわけで、コンピュータ関連のものを出しておきながら、ちょっとお粗末だと思ったりしました。
ついでに言っておくと、2001年当時って、ライブでリモートの映像をキャプチャできるほど回線って太かったっけ?


小説の登場人物は、多かれ少なかれ「こんなやついねぇ」と思うように描かれていると思います。
特に、エンターテインメントの分野ではなおさら。
この、こんなやついねぇ、でも二つあって、良い方にこんなやついない、なのか、それとも駄目な方にこんなやついない、なのか。これでだいぶ変わってきます。
この小説の主人公のひとりが、実にこの駄目な方で。
もう、何とも言えない。
同じ秋葉原を舞台にしていて、良い方のこんなやついないだった、アキハバラ@DEEPの登場人物に比べて、全く違ったなぁ、と。
石田衣良は、エッセイとかはサイレントマジョリティだったりするけど、そういう小説の部分はうまいなぁ、と思います。


そんなわけで、在りし日のアキハバラに思いをはせたい方は、ぜひ。

[Today's tune]HARAKIRI NATION/Blasterhead