砂の城の殺人(谷原秋桜子)

砂の城の殺人 創元推理文庫

砂の城の殺人 創元推理文庫

2月刊行予定が1ヶ月延びたりして、ちょっとドキドキだったシリーズ第3弾。
前の2作は、富士ミスで出版されたものの再版だったけど、今回は書き下ろしですよ!
レムで難しくなったあとに、爽やかな(?)ミステリで、口直しなのです。
で、結論としては、富士ミスから創元に移って正解だったんじゃないか、ということで。
嵐の山荘に、移動する死体、密室殺人ときて、最後は二転三転する推理とくれば、もう、富士ミスの想定読者層にはついてこられないんじゃないか? と。
ええと、はっきり言ってしまうと、「わかりやすく」ないんですよ。
流して読んでたら、絶対に混乱するよ? と言う感じで。
犯人も、探偵も、くるくる入れ替わります。
それじゃあ、ライトノベル読者にはきついんじゃない? と思います。
ただ、逆に言うと、ミステリ者としては、むしろこう言うのを待っていた! と。
富士ミスの頃から、伏線は丁寧だったけど、まさかこんなところから伏線を張っていくとは思わなかった! というくらい。トリックは若干大味な感じもするけど、終盤の推理合戦が良いね。うん。
よっぽどひねくれた読者でもない限り、満足できるんじゃないでしょうか。