雪の断章(佐々木丸美)

雪の断章 (佐々木丸美コレクション)

雪の断章 (佐々木丸美コレクション)

そんな、狭き門をくぐり抜けて紹介するのは、佐々木丸美の雪の断章です。

雪降る札幌で
青年・裕也と出会った
天涯孤独の少女・飛鳥
二人の運命と
苦しいほどの愛を描いた
珠玉の名作

とは、帯の言葉。
北海道の厳しくも優しい、鮮やかな四季に彩られた、飛鳥の成長と愛の物語です。
悪意と、それに立ち向かう小さな心。
それは、「大人」から見れば間違った行為かもしれない。
けれども、自ら選び、創り出していく「運命」。
ラストシーンの切なさには、本当に雪がよく似合う。


今は夏。
北の大地にも、燦々と太陽は照りつけ、木々を緑色に輝かせている。
大通公園の噴水は、太陽の光を浴びて輝く宝石のように。
子どもたちは、純粋に太陽の暑さと水の冷たさに歓声を上げている。
──冬、その場所は白く染まる。
喜びも悲しみも穢れもすべて埋め尽くすような粉雪に。
天から舞い落ちるそれは、神様が、汚れきった下界をきれいにリセットしようとしているかのように。
だから、きっと、雪は冷たくて、そして、きれいなのだろう。

[Today's tune]world symphony/ACIDMAN