倒立する塔の殺人(皆川博子)

倒立する塔の殺人 (ミステリーYA!)

倒立する塔の殺人 (ミステリーYA!)

とりあえず、電車の中で読んでいて、乗り過ごしたという事実を報告。
謎が心情に直結してるというところで、美しいなぁ、と感じたり。


小説──特にミステリの感想として、トリックが良かったとか、ロジックが見事だったとか、そういう内容に関するものだとか、どこの文章が良かった、とかいうテキストに関するものだとかがあるけれど、個人的には、読んで感じられる空気と言うか、雰囲気のようなものを大切にしたいと思っている。
例えば、美術館で絵を見たときに感じる、あの、引き寄せられる感覚。
例えば、ステージの上のバンドと一緒にビートを刻んでいるときの、あの背筋に走る感覚。
絵の技法はわからないし、絵画史的にどういう位置にある絵なのかも、漠然としかわからない。でも、見た瞬間に引き寄せられる絵というものに出会うことがある。
言うなれば、恋をする、という感情に似ているのかもしれない。
そこに、理由はない。


そんなわけで、そんな感じで、すごく「惹かれる」小説でした。

[Today's tune]Bring Me To Life/Evanescence