ナ・バ・テア（森博嗣）

ナ・バ・テア (中公文庫)

周りには、空気しかない。
なにもない。
命も、死も。

シンプルなものが好きです。
ぐだぐだ御託を並べるよりも、さっさと飛んでしまった方が、美しい。
もちろん、精緻に計算され尽くした曲線が美しいのはわかる。
でも、そんな曲線だって、直感、衝動的に描くことができたのなら？

気持ちいい音を求めるように。
気持ちいいテキストだけを求めたい。

そんな初期衝動のような小説です。

と、いつもにも増して抽象的に書いてみましたが、この小説の魅力を伝えることは難しいんだよなぁ。
というより、森博嗣の小説が、魅力を伝えるのが難しいのか。
確かに、言葉を弄すればそれなりに言えることはあるかもしれないけど、それはやっぱりどこかずれているような気がする。
つまりは、枝葉ばかりをあげつらうだけで、本質が見えて来ない。

西尾維新が森博嗣の文章に似ていると一時期言われていたけど、二人の文章の本質は、全然違うところにある。

重ねて言おう。
森博嗣の文章は、シンプルだ。

文構造という意味ではなく、書いている思想が、シンプルなのだ。

[Today's tune]REMIND/ACIDMAN