死霊3(埴谷雄高)

死霊(3) (講談社文芸文庫)

死霊(3) (講談社文芸文庫)

やっと読み終わった……残ったのは、疲労感と、精神世界の深淵をのぞいてしまったのでは? という畏怖。
2巻を読んで思った事だけど、やっぱり、ボクにはまだこの小説のすべてを理解する事はできない。
そんな、ボクのようなやつが、ちょっと読んで理解できるような内容ではないです。
しかし、それでも、わずかながら何かを考える事のきっかけにはなるはず。
重要なのは、理解する事じゃない。
理解しようと突き進む事なんだと思うのです。
だから、1巻2巻では影の薄かった安寿子が、自ら考え、至る、3巻の中盤から一気に存在感をましてくるんだと思うのです。
読者は、その安寿子を通して、なんとか彼らが語る「虚体」の縁へと手を伸ばす事ができるのではないでしょうか?

 ──ほう、何が、はじめて全宇宙に創出されるのでしょう……?
 ──与志さんの、虚体、です!

この一言に込められている、途方もない愛。
そして、すべてを内包した、読者への問いかけ。


ボクは、この問いに答える術を見つけるために、どうすれば良いんだろうか?

[Today's tune]青白い月/fra-foa