学校の階段6〜9(櫂末高彰)

学校の階段6 (ファミ通文庫)

学校の階段6 (ファミ通文庫)

学校の階段〈7〉 (ファミ通文庫)

学校の階段〈7〉 (ファミ通文庫)

学校の階段8 (ファミ通文庫)

学校の階段8 (ファミ通文庫)

学校の階段9 (ファミ通文庫)

学校の階段9 (ファミ通文庫)

9巻まで追いついたっ!


まずは6巻。

「……仕方ないんですよ。だって、そうでしょう? 僕らはもう、そういうふうに生まれついてしまったんですから。どうにかできるなら、とっくの昔にどうにかしていますよ。刈谷先輩だって、そうのはずです」

そうだよ! これだよ、この言葉!
これが階段レースの──そして、あてどもない衝動の発露としての、何かを言い表したものなんだよ!
例えば、「そこに山があるから昇る」っていう言葉があるけど、それはこれなんだよね、と思う。
何か理由があるからじゃない。
自分の存在意義という大それたものじゃないかもしれない。
ただ、やらなきゃいけないから、だから彼らは階段を駆け巡るんじゃないのか?


そして、7巻。

「筋肉をバカにするな!!」

もう、これに尽きるね!
あてどもない衝動というのは、もちろん走ることだけじゃなくて、それ自体が形のないもの故に様々な形で形而下的な姿を現す。
それが、この巻での選挙であり、その中でのこの言葉だったんじゃないか、と。
はっきり言って、天才も凡人もそこには関係ない。
ただ、己の中に沸き上がるとらえどころのない欲求を、どのように形にして行くのか?
おとなしく折り合いを付けるのか? それとも、爆発させるのか? それがあるだけだと。


8巻。
魅せられたものが、またひとり。
胸の奥に抱えたものがどれだけ複雑であろうとも、解決は単純に。
その方が美しい。
複雑に入り組んだロジックも良いけれど、ただ複雑なだけじゃなくて、そこに一本流れる完成されたラインというか、筋道と言うか、そこを全速力で駆け抜けるだけの青春、というのが良いと思うんだ。


で、今のところの最新刊の9巻。
うわー、これは、もう、予想していたところではあるけど、先に行ってしまった感がある。
缶バッチと刈谷が、一体何を見つけようとしているのか?
そして、階段の、その向こうに何を見つけるのか?
とても興味がある。


というわけで、つらつらと感想書いてみました。
階段を走る、ということだけに限らず、どこにも向かいようのない衝動というのはあって、
初期衝動というか、本能、というか、
生きていく上で、どうにかして折り合いを付けなければいけないような、
そんな他の人には一笑に付されるような、どうしようもない思い。
それは、階段を走るだけじゃなくて、もちろん普通のスポーツだったり、
音楽だったり小説だったり。
今年無事本編完結した”文学少女”シリーズでは、「小説を書く」ということが、根源的な欲求になっていたし。


どうしても、そのあたりを無理に読んでしまうので、こういう一般的じゃない感想になっちゃうなぁ……


じゃあ、最後にどうでも良い感想を。
──と、普段ならここで、
「美冬ツンデレ!」
とか
「泉かわいいよ泉」
とか
「ちづるのおでこ!」
とか、そういうのがくるあたりなんだけど、今回はそれがないんだよなぁ。
一気に読みすぎたせいか、そういうなんというか、萌え? を感じる余裕がなかったのかな?
むー、どのキャラも、良いキャラだと思うんだけどなー。

[Today's tune]絵画教室/ASIAN KUNG-FU GENERATION