デンデラ(佐藤友哉)

デンデラ

デンデラ

うわ、これはすごい!
まさに、ユヤタンネクストステージ! って感じ?


姥捨山」に捨てられた老女が生きる/死ぬ/戦う。
これは、寓話であり、社会風刺であり、エンタであり、
そして何よりも、佐藤友哉が削り出した存在である。


今まで、「若い」人を主人公とすることが多かったユヤタンが、
登場人物全て老女(熊もいるよ♪)なんていったいどういうこと? と思ったんだけど、
中身はまさに今の佐藤友哉にしか書けないような小説でした。


迷うということ、そして、覚悟を決める──生きる=死ぬということ。
ユヤタンの小説に今まで描かれてきたことが、凝縮されています。
ラストの主人公の姿がありありと思い浮かぶような、
その決っして描写されない表情が、この小説の全てを語っているように思います。


細く、脆かった佐藤友哉は、
その脆さゆえに、これだけの強さを得ることができたんじゃないかと。
そんなことを考えさせられました。

[Today's tune]アトリエ/tacica