ドーン(平野啓一郎)

ドーン (100周年書き下ろし)

ドーン (100周年書き下ろし)

近未来を舞台にしたSF。
SF?いや、これは現代小説だ。
ガジェットは確かにSF的かもしれない。
でも、中身はこれでもか、と言うくらいに現代を切りとっている。
作中で語られる「ディヴ」についてが、ものすごいわかってしまう。
自分、というけれども、それは一つじゃなくて、
誰かの前に出れば、違った顔を見せる。
ぼくだって、仕事のときとオフでラノベの話ししてるときは違うし、
家族の前で見せる顔と、誰かと二人で飲んでるときは、また違う顔がある。
それを整理したのが「ディヴ」なのかなぁ、とか。
自己同一性とかペルソナとか、そういった単純な話じゃ、
現代は切れないんだなぁ、と。