「東京都青少年の健全な育成に関する条例」改正案について

基本的には、表現に規制をかけるようなものは、反対だと考えていますが、そういう個人的な感情を入れずに、客観的なところで、ちょっとエントリ書いてみたいと思います。


今回、条文の中に、

漫画、アニメーションその他の画像(実写を除く。)で、刑罰法規に触れる性交若しくは性交類似行為又は婚姻を禁止されている近親者間における性交若しくは性交類似行為を、不当に賛美し又は誇張するように、描写し又は表現

という文言が入っています。
・マンガ、イラスト→NG
・小説→OK
ということ、と読み取れます。
ですが、小説の中でも、イラストが入ったものは、規制の対象とされる可能性があると、思っています。
いわゆる「ライトノベル」と呼ばれる小説群は、表紙や中にイラストが入ってることが多いです。というより、ほぼすべてに入っています。
はじめから、「小説は対象外」ということで、チェックすらされないのであれば、「ライトノベル」はスルーされるかもしれませんが、もし、「表紙にイラストが入ってるから」「中高生が読むものだから」という理由でチェックされるのであれば、規制の対象とされる可能性は、否定できないです。
というより、恣意的に解釈すれば、何から何まで規制できそうな条文なんですけどね……


と、こういう状況もあり、ネットとかでも賛成/反対で議論がされているんですが、ラノベ界隈だと、あんまり見かけないなぁ、と思って。
みんな、「政治的なことには口を出さない」という主義なのか、それとも、「小説は大丈夫だから関係ない」なのか、どちらなのかはよくわからないけれど……


作者側が「書けなくなる」というだけじゃなくて、読者側が「読めなくなる」という状況です。
賛成であれ、反対であれ、一読者として、同人でアマチュアとはいえ何かを書いてる者として、何らかの意思を表示するべきだと思い、このようなエントリを書きました。


最後に、ぼくの思いを書いておきます。
表現するということは、自由だと思います。
どんなものにも妨げられることのない、自由な思いの発露です。
もし、表現に制限がかけられるというのであれば、
午前二時の部屋の片隅で生まれる言葉は、どこに行くというのだろうか?
夕日に照らされた街角に降る言葉たちは、どこに消えるいうのだろうか?
彼と彼女の間をうめる言葉がなければ、ふたりの唇は永遠に近づかないままじゃないのか?
そこにある、脆くて崩れそうな想いを拾い上げるのが、
小説であり、
マンガであり、
イラストであり、
音楽であり、
映画であり、
芸術/表現というものだと思っています。
想像/創造することに、制限をかけることはできない。
そして、すべての表現物に優劣も区別も、何もない。


ただ、その創造したものを、誰に、どのように見せるのか? は、きちんと考えるべきだと考えています。
しかし、それは、誰かが勝手にやるものではなく、
その作品に関わった人たちが、責任を持って、やるべきことだと思っています。
もし、第三者が行うというのであれば、その人の胸先三寸で決められるようなものではなく、誰の目から見ても明らかな、客観的な基準を設けて、すべての表現物に対して同様に適用するべきです。
小説はOKで、マンガはダメ、とかいう、きわめて恣意的な運用は、すべての表現者に対して、無礼です。


なので、ぼくは、東京都の「東京都青少年の健全な育成に関する条例」改正案には反対です。

I Fought The Law/The Clash