KAGEROU/齋藤智裕

KAGEROU

KAGEROU

というわけで、早速読んでみました。


ええと、思ってた以上に普通というか、特に驚くことも何もないような、新人賞受賞作だなぁ、と。

廃墟と化したデパートの屋上遊園地のフェンス。
「かげろう」のような己の人生を閉じようとする、絶望を抱えた男。
そこに突如現れた不気味に冷笑する黒服の男。
命の十字路で二人は、ある契約を交わす。
肉体と魂を分つものとは何か? 人を人たらしめているものは何か?
深い苦悩を抱え、主人公は終末の場所へと向かう。
そこで彼は一つの儚き「命」と出逢い、かつて抱いたことのない愛することの切なさを知る。
帯の言葉から


とりあえず、作者が伝えたいだろうということは、とても伝わってきました。
伝えたいことが先にあって、それに小説の技量がついて行けてないというか、そんな印象があります。
これだけ強く伝えたいことがあるんだから、小説の技量がそれについていけるようになると、きっと、とても良いものを読ませてもらえるんじゃないかと思います。


ぶっちゃけ、小説の技量なんて、あとからどうにでもなると思うので、それよりも、何か伝えたいこと、表現したいものを、強く持ってるかどうかが大切だと思うんですよね。
そういう意味だと、今後が楽しみではあるんですけど、逆に言うと、編集者次第では、まったくダメになる可能性もあるわけで……こういう人にこそ、力のある編集者がついて、しっかりとサポートして欲しいと思ったりもします。