口に含むは、誰のための媚薬?〜ほろ酔い艶美 柊志乃〜

If you hold on primitive notion
And if you think you'd like to try
You can drink this magic potion
And you can do it 'til the day that you the day that you die


PRIMITIVE NOTION/Ner Order

桜舞い、ゆめまぼろしのような陶酔の中、彼女が踊り、歌う。
ゆるりと、ふわりと、ひらひら、はらはらと。
十代のアイドルには出せないような色気を身に纏い、妖しく誘うように微笑む彼女の名は柊志乃。そんな彼女に僕らは酔いしれる。


赤ワインは、血液のメタファーである。
いみじくも彼女は語る。

私の血はね、ワインでできてるのよ

と。
血は、水よりも濃い。
これは、血縁による繋がりの深さを表した言葉だが、血は水よりも僕らを強く惹き付ける。淫美で甘美な赤いぬめり。ダメだとはわかっていながらも、僕らはそれに惹き付けられる。
口に広がる芳醇な香り。
喉を滑る絹のように滑らかな液体。
とどめることができず、それを求めてしまう。
柊志乃は、そういう女性だ。


もしかすると、彼女の魅力というものは、理解され難いのかもしれない。
ワインよりも飲みやすい、甘い酒が好まれるように。
しかし、そんな色の着いただけのアルコールを飲んで何が楽しい?
僕らは、もっと本物を求めたいはずだ。
一口含むだけで、長い夜の物語を感じられるような、本物を。
もし、君が本物の味を知りたいのであれば、柊志乃、彼女のステージを見ると良い。
彼女は、君に魅せてくれるはずだ。
妖しく光る赤い月夜のワインのような、二度と目を離すことのできない、媚薬のような姿を。