復活の地(小川一水)

復活の地 2 (ハヤカワ文庫 JA)復活の地〈3〉 (ハヤカワ文庫JA)
「復活の地(小川一水)」読了。
非常に面白かったです。まず、地震の理由があれというのも非常に良かったです。これこそがSFという感じで。
そして、そう言う地震の理由だとか星間船だとかのSF的要素を使いつつも、結局地震に立ち向かう人々の姿というか、そう言うのがとても良くて。自分が直接被害を受けていないけれど、やっぱり神戸だとかこの前の新潟を思い出したり。地震は普通完全に予知できないものですけど、それが分かっていたとしても防ぎようがないと言うか。そこで助けられなかった人々の事を思うのか、助けられた人の事を思うのか。助けられない人々は、死体となって責めてくるけど、助けられた人は少しでも不便があれば責めて来て。結局どちらにしてもやった事は無駄だったんじゃないか? というか、何も出来なかったんじゃないか? という思いが生まれてきたり。だからこそ、私は助かりました、という一言が重いなぁ、と。どんな思惑よりも、助けたい、そう思う心が一番強いような。全てを投げ打ってでも助けたい誰かがいて、それが人の分だけあって、そして、そのひとつひとつが繋がっていって、だから誰かを助けたいが街を救いたいになって、そう言う感じです。1次震災の時は全く連携も何も出来ていなかった消防、警察、天軍、その他の公的団体、民間企業、そして市民、さらには反対陣営だった陸軍までが一丸となった時、もう感動でした。他には、政治的駆け引きも面白かったなぁ、と。人を失っても星の為か、人がいなければ国はない、という対立のような。国破れて山河ありとはいえ、前に進むには人の力が必要なんだ、と。
で、2次震災後の状況がもう本当にあれで。これほどひどくはなかったものの、新潟の事を思い出さずにはいられない訳です。特に、マスコミのあり方が。個人情報の問題はあったものの、NHKの対応は一応大きく間違った事じゃなかったのかな、とか思ったり。あー、被災地に行ってスタッフ分の食料だとか買い占めたりするのは論外ですが。というより、日本の自衛隊にもこの陸軍ぐらいの権限があればそんな駄目マスコミは全て……まぁ、そう言う事をやるから嘘っぽくなるというか、被災してすぐにTVキャスターが乗り込んでどうするんだ? と。何か被災した方々の役に立つ情報をひとかけらでもながせたのか? と。もちろん、ヘリトとかグインデルのように力を尽くした、今も全力で戦っているマスコミの人もいるとは思います。だからこそ、一部(?)の非道な事をするマスコミが許せないです。
……ここまで書いていて何ですが、あれですね、2巻の表紙が良いですね、スミルさま非常に素晴らしいですね。もうあれですよ、バルカホーン留学中のエピソードとか妄想しちゃいますよ。優男にアタックされたり、女の子同士で話してるうちにセイオの話になって照れたりだとか、ちょっと寂しいとか思ってるところにサユカからソレンスとのラブラブ〜な近況を伝える手紙が来たりしてうらやましいだとかどうしてセイオは手紙もくれないの? とかちょっと悩んだりして、好感度があがって会わない期間が長すぎるというせつなさ炸裂状態になりつつもやっぱり好きーだとか、……ちょっとセンチが混ざりましたが、とにかくそういう事なんですよ。
ここにきて、萌えの原動力は妄想力であり、それは夜の夢こそ真――幻想に挑み続けるミステリと根源は同一だと妄言を吐いて終了に。

[Today's tune]BELIEVE/LUNA SEA