サマー/タイム/トラベラー2(新城カズマ)

サマー/タイム/トラベラー (2) (ハヤカワ文庫JA)
タイムトラベルというのは、モラトリアムによく似合う。
そして、モラトリアムの季節には、夏がふさわしい。
季節が過ぎていくというのは、もちろん時間が過ぎていくということだけれど、季節をひとかけら切り取ることで、その中に永遠を見たりもする。
遠い青空。消える飛行機雲。あの空を回る風車の影。灼けた線路。形を変える入道雲。……もうゴールしていいよね? そう言えば、今JAMは1周年記念で制服だったりしますけど、今日はAIRの制服の妖精さんがいたり。制服持ってくるの忘れて借りたっていってましたけど、そう言うのが備えてあるというのはさすがだと思いましたというかサマー/タイム/トラベラーに全く関係ないじゃん。
タイムトラベルというのは、そういう幻想の永遠から先へと進む、ということの比喩なんじゃないかな、と。だから、悠有は「とぶ」んじゃなくて「進む」んだと思うのです。
悠有という一気に先へ進んでいった存在の一方で、卓人たちは、一歩一歩、ゆっくりでも歩みを進めている。時間を移動している、という観点に立てば、これも立派なタイムトラベルで、そうして何かを得たり、何かを失ったりするんだろう。
連続か不連続かなんてものは、実際のところそれほどの問題じゃない。不連続な悠有だって、メールで連続を確認している。つまりは、ちょっと便利になったよね、というくらいのもの。「夏」から抜け出せるかどうかは、その人が先へと進んでいっていることを自覚できているかどうかが肝心で。きっと、「進んでいる」のと「流されている」というのは結果が同じだったとしても、違うものだろうし。
というわけで、SFで青春小説で、良いと思うので、お勧めです。