海辺のカフカ(村上春樹)

海辺のカフカ (上) (新潮文庫)
海辺のカフカ (下) (新潮文庫)
その後、場所を移して海辺のカフカの下巻を読みふける。
結論から書くと、海辺のカフカの上巻は非常に素晴らしい、下巻は興味がある方どうぞ、という感じ。いろいろと謎は残るかもしれないけど、それはそのまま放っておく方が良かったんじゃないかと思えたりもする。入り口の石だとか入り口の向こう側だとか、そういうものが出てきたとたん、急にすべてが小さくなってしまったような気がしてしまう。
あと、ストーリーの始めから、最後にはこうなることが決まっている、という感じがしてしまって、どうしてもそれがいけないような気がする。結局のところ、カフカは成長したかもしれないが、変わってはいない。ちょっと変わった通過儀礼を、他人を巻き込んですませただけだったりする。
つまるところ、この小説は何かの答えを出そうとするよりも、その答えを出す過程を創り出す類のものであり、最後まで読んで答えを読んでしまうよりも、途中でやめて自分で何かを考える方が重要なんじゃないか、と思っただけです。
……ええと、なんだかあんまり良くないような書きかたしてますが、本当に上巻は素晴らしいです。最高です。屑みたいな小説読み散らす暇があるなら、上巻だけを繰り返し読んだ方が良いですよ。うん。