文学と言うか表現物の定義という些細な問題

夏目陽(id:natume_yo)さんと秋山真琴(id:sinden)さんが、なんだか面白そうなことを始めたので、感想と言うか、自分の思うところを書いてみる。

そもそも、文学って何? というのがよくわからないというのが実情。
「音楽」の「楽」とはわざわざ違う字を使ってるからには、同じ音でも「ガク」の意味合いは違うんだろうなぁ。
でも、秋山さんの図だと、小説∈文学。
でもでも、その下で、文学∈小説だって言ってる。
どっち?


大雑把に言ってしまうと、表現物のうち、記述された文字によって表現されたものが「文学」だと思っている。
詞とか朗読は? というのはあるかもしれないけど、「文学的」ではあり得るかもしれないけど、「文学」ではないと思う。
例えば、歌う人の技量によって、詞は全く違って聴こえる。
朗読だって、読む人によっては、印象が全く違って感じられることもしばしば。
それじゃあ、純粋な「文学」とは違うんじゃないのか? と思うのです。


個人的な表現物の定義を、ちょっとまとめてみると、
a=(x:表現技法,y:主体性,z:物語性)
というパラメータで表せるのでは? と考えている。
いや、もしかしたらもう少し変数は必要かもしれないけど。

  • x:表現技法

そのままの意味です。
文字で書くのか? 曲にするのか? 映画? 絵? マンガ? という区分。

  • y:主体性

表現物と作者の関係です。
客観的な表現にするのか、それとも、表現物に自分を重ねあわせるのか? というところ。
例えば、私小説とかだと、このパラメータが高いだろうし、戦場カメラマンが写す写真というのは、恐ろしいまでに客観的。そう言うところの違い。

  • z:物語性

絵画で言うところの、宗教画とスケッチの関係みたいなもの、と考えてみる。


文学というのは、
x:表現技法=文字
となる表現物の集合で、その中の部分集合である、
x:表現技法=文字 かつ z:物語性>0
となる集合が、小説、となるのではないだろうか?


と、考えてはみたものの、ぱっと思いつくだけでも、例外的なものはごろごろと出てきそうな感じ。
いわゆる「筋のない小説」というのは、一体どう扱ったら良いのか? なんて、簡単に答えは出そうにない。
x:表現技法=文字
を文学とするのは良いと思うんだけど、同じ文字表現でも詩や評論などと小説の境目は、もっと別の要素が絡んでるのは? とも思う。


しかし、「文学」という言葉の意味を曖昧なままに議論を進めるのは、あまりよろしくないことだとは思う。議論の筋道がずれてしまうと、互いの主張が平行線のまま、結局結論がでないことがしばしばあるから。
個人的には、文字表現以外の表現物における「文学性」とは何か? というところを、はっきりと示してしまい、その定義は妥当なのか? という部分について論を深めて行った方が有意義なのでは? と考えている。


それにしても、こうやって、何でも定義しようというのは、自分の悪いくせだなぁ。
でも、数学科出身って、だいたいこんなんだよね?

[Today's tune]Piled Higher Deeper/SOFT BALLET