ヱヴァンゲリオン破

エヴァンゲリオンの新劇場版の2作目「ヱヴァンゲリオン破」を観てきました。
というより、今のところ2回観ました。


中学生のときにテレビ版のエヴァを観て、
高校生のときに旧劇場版を観て、
そして、今、新劇場版を観て、
こんなボクでも少しずつ成長しているのか、
あの頃とは考えることが少し違ったりします。
昔は、シンジ君などに感情移入するようなことが多かったけれど、
今回のヱヴァ破では、どちらかというと、
ミサトさんや加持さんのような「大人」の方に立って考えることが多かったかな、と。
なんというか、前はすごく大人に見えたミサトさんや加持さんと同じような年齢になってみると、
彼女たちも特別大人だったわけじゃなくて、
まだまだ幼い部分というか、決めきれない部分というか、
曖昧なままになっている部分というものがあるんだろうなぁ、と思うわけです。


さて、そんなわけで、あとはざっくりネタバレで。



ストーリーの構造について

で、今回は2回目の映画化。
どういう構造なの? というところは結構気になるところで、
テレビ版、旧劇場版とはストーリーが大きく異なっています。
例えば、

  • アスカの名字が変わっている
  • 3号機に乗るのがトウジじゃなくてアスカ
  • アスカがレイにビンタをするシーンで、レイがアスカの手を止める
  • ゲンドウ達が行く場所が南極じゃなくて月

などなど。
同じエヴァでありながら、この違いはなんなのか?
たぶん、登場人物たちの言葉がヒントになるんじゃないのかな? と。
カヲル君なんかは、はっきりと、今回はシンジだけでも救うと言っているし。
今回は、ということは、救えなかった前回があるということなんじゃないかな、と。
つまり、前回までの劇場版をふまえた上でのループしている世界なんじゃないか? と推測できるんじゃないかなぁ。
最近の例で言うと、「ひぐらしの鳴くころに」のようなイメージ?
その、前回の世界のことを「知っている」人たちが、
それぞれの目的を叶えるために行動している、というのが、新劇場版なんじゃないかと。

シンジの変化、レイの変化、アスカの変化、そして3人の関係

3人とも、大きく変わりました。
3人の変化のどれも、今回の新劇場版にはなくてはならない変化で、
ストーリーに大きく影響を与えています。
今まで持っていた「神性」という衣を脱ぎ、「普通の女の子」になろうとしているレイ、
「ひとり」だけじゃなくて、誰かと繋ることに意味を見い出したアスカ、
そして、自分から何かを「望む」ようになったシンジ。
これまでエヴァの象徴として描かれていたレイの変化は、ちょっと驚きかなぁ、と。
神のような立場から少女という立場に降りてきたからこそ、
シンジが彼女を救おうとすることに、説得力が出てきたんじゃないでしょうか。


で、シンジがレイを救うというときに忘れてはならないのが、
救えなかったアスカという存在があるということ。
音楽も同じようになったりして、明かに対比して描かれているんじゃないかなぁ。


この救おうとするシンジは、やっぱり前作までとは違いますね。
思えば、テレビ版のラスト、
「ボクはここにいてもいいんだ!」
で終わりました。
それは、存在することの肯定でしかなかったわけで、
今回は、存在していることはすでに前提としてあり、
その上で、何を求めるのか? というところがあり、そこで「レイを救う」というのがあったわけです。
繰り返しつつも、前に進んでいる、と言えるんじゃないでしょうか?
つまりは、単純な繰り返しではなく、螺旋のような構造になっているのかなぁ、と。

新キャラ「真希波・マリ・イラストリアス

今回、冒頭のシーンで一気に場を持って行ったマリ。
胸も大きいし、良いキャラだと思います。
プラグスーツを着て、たゆん、と揺れるんだよ?
最高。


というわけじゃなくて、今までのエヴァにはいなかったキャラですね。
パンフのインタビューにも記述がありますけど。
今までのエヴァは、敵も味方もストーリーも「キリスト教的神話」を元に構築されていた、と思います。
#キリスト教に神話とかそういうのがないのはわかってます。あくまでイメージです。
その世界観の中に入りこんだのが、マリです。
エヴァの世界的には異物なわけです。
マリは「獣」として描かれています。
シンジと初めて会う屋上のシーンで、彼の匂いを嗅いだり、
2号機で「ビースト」となったり。


そっちの方をちゃんと勉強してるわけじゃないんで、あくまでイメージなんだけど、
「獣」というのは、キリスト教の外にある存在=今までのエヴァの外にある存在なんじゃないかなぁ。


だからこそ、シンジのDATのカウントを進めたり、
彼を新しい道=レイを救う道に導いたりしてるんじゃないかと。

ミサトについて

そんなわけで、ボクももうすぐミサトと同じ年齢になるわけで、
今回はミサトさんに感情移入してしまいました。
29歳という年齢は、もう大人なんだけど、でも、まだ子供っぽいところ、
青いところを捨てきれていない、そんな時期なんだろうなぁ、と、自分を見て思います。
でも、少しは世の中のこともわかってきたような気もしていて、
それがアスカへのセリフに表われていると思います。
とりあえず、ミサトさんとは、居酒屋で偶然隣に座って、
「もう、上司がわけわかんなくてぇ、部下もわがままばっかりだしさぁ」
なんて愚痴を聞きながら、
「うん。わかるよぉ。ま、飲んじゃってよ」
なんて、一緒にビールを飲みたいと思うんだ。


まぁ、そんなわけで、俄然、次回のQが楽しみになってきました。
緩徐で拍子に合わずの「序」、
緩徐で拍子に合う「破」、
そして、急速で拍子に合う「急」。
次回は、今回以上に怒涛の展開となるんじゃないかな? と期待しています。