「○○から面白くなるから!」って、それ、○○までは面白くないってこと?

最近、アニメでもラノベでも、
「○○から面白くなるから! だからおすすめだよ!」
と言われることが多かったりする。
たとえは出さないけど、去年?一昨年?流行ったアニメとか、大人気ライトノベルシリーズとか、数え上げればきりがないくらいに、「○○まで見れば面白くなるから!」っておすすめされる。
実際、それらが面白くないとは言わない。
去年か一昨年流行ったアニメは、死後の世界で生きる意味を探す、というとても象徴的でパラドキシカルなテーマを、コメディタッチで描くという意欲作で、キャラクターも魅力的に描かれており、実際、
「感動した!」
「天使ちゃんぺろぺろ」
などなど、ネットでも、とても人気があった。


しかし、はっきり言って、第1話の脚本はひどかった。
何もわからない主人公を、突然死後の世界に放り込むというアイデアはすごく面白い。
冒頭の会話も悪くはない、と思う。
でも、冒頭の夜の校舎のシークエンスが終わってから始まる、説明台詞の連続!
一から十まで全て説明しなきゃだめなのか? というくらいに、これでもかと説明がはじまる。そして、そのまま後半の戦闘シーンに突入。ライブシーンと戦闘シーンを重ねるというのは、多少手あかがついた手法かもしれないけど、効果的だからこそ、何度も繰り返し使われるわけで、その意味ではオーソドックスな手法かもしれないけど、その肝心の戦闘シーンが、子どもだましにもならないほどにひどくて、これは本当にアニメなのか? と疑問に思ったりして、結局、2話から見るのをやめてしまった。
その後、いろんな人から「○話から面白いから!」と勧められることが非常に多かったので、結局、再放送とかで全話を見た。
#それほど流行った作品だったわけだけど
しかし、結局、最初の印象が変わることはなかった。


続き物の小説とか、マンガとかなら、まだ何年もたつうちに面白くなる、というのは理解できるし、それはアリなんだと思うけど、アニメの、しかも、1クール3ヶ月のもので、○話から面白くなる、というのは、実はすごく危険というか、作品としての瑕なんじゃないだろうか。
1クール12話として、そのうちの1/12……場合によっては、2/12、3/12を「面白くない話」で捨てるっていうのは、とてももったいない。
だって、3/12っていったら1/4だよ? 起承転結で言うと、起全てが面白くないっていうことだよ?
それだけあったら、マミさん@まどマギだってマミられるところまで行くわ!


というわけで、逆に、1話の冒頭から心を鷲掴みにされた例でも挙げて、終わりにしようかと。
今期もアニメは豊作といわれていたり、いつでも豊作じゃねえか! と思ったりするんですが、うさぎドロップとかNo.6とか夏目友人帳三期とか、先期からの続きのタイバニ、銀魂、スイプリなどなど、見ても見ても終わらないくらいにいろいろあるんですが、今期というくくりにすると、個人的には、

が面白いです。


輪るピングドラムは、冒頭からぐいっときました。
冒頭のモノローグと、OPの映像にちりばめられた世界観と謎に、本編も前半の幸せな日常と、後半、急転直下の悲劇、そして、謎ばかりの「生存戦略」。
30分に、これでもか、とイメージを詰め込んでいて、緊張感がなくなることはありません。
ネットで話題になるのも、疑問はないです。


異国迷路のクロワーゼは、そこまでネットで話題にはなってないですが、(地味に)面白いです。
1話の冒頭、遠い日本からパリに来た、主人公の少女・湯音が、パリの石畳で、その下駄をからんころんと鳴らすシーン!
そのワンシーンだけで、湯音の幼さ、控えめな無邪気さ、そして、強さを表現するという、非常に素晴らしいシーンでした。あれ見たら、みんな湯音が好きになるわ!


というわけで、「途中から面白くなるよ!」と言われても、実際途中から面白くなったって、途中までは面白くないんだよね? と思いつつ、冒頭で湯音可愛い! と思わせたら勝ちだよね、という結論で。