SHIROBAKO15話の感想と問題分析について

新人も入って、次々と打ち合わせとはロケハンしたりだとかで、どんどんと話が転がりだしたSHIROBAKO15話。
ですが、最後の最後で原作者からのリテイクという大きな問題が発生しました。
このあたりは、先週の感想などで書いていたリスクがそのまま現実化した、というところですね。


それでは、この
「了解を取っていたはずの原作者から唐突にリテイクを入れられた」
という問題について分析してみましょう。


まずは、どうしてこのような事態が発生したか? という原因の分析です。
まず最初に思いつく原因としては、担当編集者が実際には原作者に了解を取っていなかった、というものです。Twitterなどでもそのような意見が大多数をしめているように見えました。
このような、直接的な原因のことを、「直接的要因」などと言ったりします。そのままですね。
ここで、直接的な原因の対応として担当編集者を変える、などの対応に飛びつきがちですが、それでは問題の解決にはなりません。もし、次の担当者も同じような人だったら? 次の担当者がまともだったとしても、その担当者が事故にあわないとも限りません。つまり、直接的な原因への対応は、どうしても場当たり的なものになりがちで、次に同じような事態を引き起こさないということを保証してはくれないのです。


それならば、どうすれば良いのか?
発生した問題と、直接的な原因をどんどん深く考えていきましょう。

  • なぜ了解を取っていたはずの原作者から唐突にリテイクを入れられたのか?

→担当編集者が原作者に了解を取っていなかった。
はい、これはあまりよろしくない掘り下げ方です。
→担当編集者が原作者に了解を取っていると「思い込んでいた」。
という方が、原因の追求、掘り下げがやりやすいです。(つまり、対策が立てやすいです)


それでは続けましょう。

  • なぜ了解を取っていたはずの原作者から唐突にリテイクを入れられたのか?

→担当編集者が原作者に了解を取っていると「思い込んでいた」。

  • なぜ担当編集者が原作者に了解を取っていると思い込んでいたのか?

→電話連絡でOKをもらっていたから。

  • なぜ電話連絡でOKをもらっていたのか?

→「これ以上は伸ばせない、OKをください」と言って、OKを言わせていたから。

  • なぜOKを言わせていたのか?

→仕事をスムーズに進めようとしていたから。

  • なぜ仕事をスムーズに進めようとしていたのか?

→毎回様々な要因によりギリギリのスケジュールとなるため。
と、だいたい5回くらい「なぜ?」を繰り返すと、深いところの問題が見えてきます。
この深いところの問題を「根本的原因」「動機的要因」などと言います。
#なお、今回の「なぜ?」というところは素人目でSHIROBAKOだけを見て書いています。実際のアニメ制作とは異なっていると思います。


今回の問題の動機的要因は「毎回様々な要因によりギリギリのスケジュールとなるため」です。さらに、スケジュールがギリギリとなる要因を分析して対策していくのが、難しいかもしれませんが、一番の近道となるでしょう。さすがに、今回の話やSHIROBAKO見てるだけだと十分に分析できないところではありますけど、いくつか想像で書いてみます。

  • 管理資料が多い

みゃーもりが新人に制作進行の資料について説明していましたが、量が多かったですね。長いアニメ制作や映像制作の現場の中で培われてきたノウハウなのだとは思いますが、もし、それが30年前からのやり方であるなら、改善の余地は十分に残っていると思われます。
なぜなら、プロジェクトマネジメントの技術は日進月歩で進んでいるのですから。

  • 意思決定が曖昧

意思決定のスピードは、そのままスケジュールに直結します。決めるべき人が決めるべきときにしかるべき決断を下す。それが意思決定です。
今回、武蔵野アニメーション側からは「担当編集者」に連絡をし、決断をせまっていましたが、決断するのは「担当編集者」ではなく「原作者」でした。つまり、決めるべきではない人に決めさせようとしていたわけです。その誤りがスケジュール遅延のリスク、そして、誤った決断を引き出し、全体に影響のある問題となったわけです。
先週、音響監督の態度についても言及しましたが、誰が、何について、いつ、どうやって、なぜ決定するのか、が明確ではないので、このような問題が発生するのです。
#もちろん、実際のアニメ制作現場では、そのあたりは明確に決まっていると思いますが。


おそらく来週には、今回の問題に対してどのような対応が取られるのか? が描かれることと思いますので、リスクが見える場合には、どのような対応が必要なのか──つまり、リスクマネジメントについては、来週書こうと思います。
まぁ、気が向けば?


あと、今週のSHIROBAKOで気になったところを挙げます。
冒頭でも記載しましたが、今週から新人が入りましたね。
二人とも可愛いですね。はい。
かわいいというのは置いといて、かたやアニメ好きで知識をたくさん持っている、かたやアニメの知識がなく、家に近いからという理由で武蔵野アニメーションを選んだ、俗な言い方をすると「一般人」。
非常に対照的な二人です。
この、対照的な視点、複数の立ち位置というのは、良いチームを作る上でとても大切です。
よく、適材適所、という言葉で個性を生かす! ということが言われたりしますが、単純に得意なこと、できることを個性と呼ぶのではなく、その人の知識、思想、性別、生い立ち、考え方、人種などなど、そういったもの全てが個性であり、それらを生かすことで、良いチーム、良いプロジェクトができるのです。


というわけで、もうそろそろ今日のまとめです。
今週もみゃーもりかわいかったですね! 新人入って、先輩ですよ! お姉さんですよ! 良い! 良い! 良さしかない!
そして、張り切って頑張ってるみゃーもりですよ!
あー、もう、これは応援せざるを得ないですよ。うん。
というわけで、みゃーもりとゆっくりじっくり夜の打ち合わせしたいですね。