SHIROBAKO21話の感想とクオリティとスケジュールだけじゃない話について

いろいろあって遅くなりましたが、今週のSHIROBAKOの感想です。
先週まではこちら。
SHIROBAKO14話に見るプロジェクトリスク
SHIROBAKO15話の感想と問題分析について
SHIROBAKO16話の感想とリスク対応について
SHIROBAKO17話と緊急の対応とメンバの個性について
SHIROBAKO18話の感想と成果物のクオリティコントロールについて
SHIROBAKO19話の感想とモラルマネジメントについて
SHIROBAKO20話の感想とコミュニケーションについて


三女も無事1話が放送され、順調にアニメ制作が進んでいるようですが、平岡さんが制作を担当している部分で、クオリティの問題がありました。
スケジュールを優先させたい平岡さんと、クオリティを優先させたいみゃーもり(かわいい)のコンフリクトです。
結局、細々としたやり方を改善してもらう、という方向でさくっと解決をはかりましたが、実は、このあたりはすごーく難しい問題があります。そのあたりについて考えてみましょう。


まず、作中、クオリティとスケジュールは相反するものとして描かれていましたが、実は、この二つだけでは足りません。
一般に、プロジェクトマネジメントでは、クオリティとスケジュールに加えて、コストも重要だとされています。また、今はそれだけではなく、リスクも大切だとされています。
まとめて、「QCD-R」と言われます。

  • Quality(クオリティ)
  • Cost(コスト)
  • Delivery(納期=スケジュール)
  • Risk(リスク)

の頭文字をとったものです。
例えば、クオリティをあげたいのであれば、優秀な人に好きなだけ時間を与えれば可能でしょう。しかし、それでは、コストとスケジュールが無限にかかってしまいます。コストを下げれば十分な人が集められないだろうし、スケジュールを短くすればするほど、品質確保にかける時間が減っていきます。そして、それらはリスクを増幅させていくでしょう。
どれかひとつを優先させるのではなく、それぞれ必要十分なところでバランスをとっていくことが重要です。


その観点だと、みゃーもり(かわいい)の主張に理があります。
コスト、スケジュールにはまだ余裕がある(あるよね?)、他のメンバからのクレームが入っている(リスクの顕在化)という状況では、そのリスクへの対応にコストやスケジュールをかけることができます。
そこで、平岡さんのサポートに他の人をあてる(人もコストのひとつです)などの対応が可能になったわけです。


さて、それでは、「クオリティよりスケジュールを優先させようとする平岡さんの態度に問題があった」つまり「平岡さんが悪い」となるのか?
答えは「No」です。
「QCD-R」のコントロールについては、各個人の範疇ではなく、プロジェクト全体としての方針があってしかるべき部分です。
だって、こっちはすごく品質高いけどあっちはボロボロだったりだとか、そっちはすごく早く仕上がってるけどあっちは全然できてないとか、全体ができないとモノとして出来上がったって言えないじゃないですか。
と、いう部分があるので、QCD-Rのバランスをどうとっていくのか、というのを、全体として示す必要があり、そのバランスが取れているのか、バランスが崩れているときはどのように対策をとっていくのか、をいわゆるプロジェクトマネージャは定める必要があります。
今回のみゃーもり(かわいい)は、そのバランスの再調整という部分はOKでしたが、そもそもその方針を示してはいなかった、というのがちょっと弱いと思われます。


こう書くと、「そんなの、個人でやるのが仕事だろう」とか、「みんなわかってるはずだろう」と反論されるかもしれません。
しかし、その「みんなわかってるはずだろう」というのが問題です。
あなたは、自分が何をわかってるのかわかっていますか?
そして、そのわかっていることが他の人と一致してると自信をもって言えますか?
確かに、仕事で何を大切にするのか、進め方をどうしていくのか、などは当然のようにみんな持っているものでしょう。ひとりで仕事をするのであれば、それで良いのかもしれません。しかし、ほとんどの人はひとりで仕事をしているわけではありません。他の人と一緒に仕事をしています。
自分が大切に思う部分でも、他の人にとってはどうでもいいことかもしれない。
逆もまた然り。
バラバラな考え、姿勢、方針では、出来上がったものもバラバラになってしまいます。
だからこそ、プロジェクトとしてどうしていくのか、という方針をあわせていく必要があるのです。


で、今週のまとめです。
みゃーもりかわいいなぁ。何かあったら矢野さんに相談したりとかいいなぁ。
矢野みゃー……みゃー矢野……うん……うん……良いな……。
ずかちゃんについては、あの場で主張しないことについては、きっとプライドがあるんだろうなぁ、と。ただ、ああいうところで顔売るのも大切なんだけどなぁ、とか。でも、きっと、そういうのみゃーもりもあんまり好きそうじゃないだろうなぁ、とか。
うむうむ。