虹の家のアリス(加納朋子)

虹の家のアリス (文春文庫)

虹の家のアリス (文春文庫)

日常の謎と言えば加納朋子、ただしたっぷり毒入りみたいなっ。
というわけで、加納朋子です。
日常の謎と言えば、どこか暖かみのある、悪く言うと何かが足りないものが多いのに対して、加納朋子のはこのぴりっとした、ガラスの破片のような痛さが心地良いんですよね。
……タイトルもそのままガラスの麒麟というのもあったし。
けれど、その痛みが心地良いのは、やっぱり作者の暖かなまなざしというのがあるからなんだろうなぁ、と。最後には、加納朋子が笑って、大丈夫ですよ、と言っているような、そんな暖かい文章だと思います。
彼女の文章を読むと、やっぱり文に人格は現れるというのは本当だと思います。


ええとですね、鏡の家のアリスを読んで、「あの」時点でそういうトリックなんだろうなぁ、と思ってしまった、すれきった自分が嫌です。……でもですね、ああいう話でそういう展開であれについての記述がなくて、しかもあんなふうな登場のしかただったら、ミステリ者なら誰だってそう確信するはずだと思われ。
個人的には、表題作が好きです。

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