ネガティブハッピー・チェーンソーエッヂ(滝本竜彦)

ネガティブハッピー・チェーンソーエッヂ (角川文庫)

ネガティブハッピー・チェーンソーエッヂ (角川文庫)

いやー、この何もなさ感がたまらなく良いじゃないですか。
チェーンソー男がどうだって音楽だってバイクだって、全て空っぽじゃないですか。
ほんとはすごくないと思いつつも、もしかしたら……という、この、空っぽだけど何かあるんじゃないか? という感覚が。
びしっと全体をしめているのが、物語開始時点で死んでいる能登の存在。
突き抜ける事のできない空虚の中で突き抜けてしまった存在な訳です。
その、突き抜けてしまい方が、バイクでカーブに突っ込むというのが、またこの空虚さを際立たせているな、と。
……でも、あの頃の特別ってこういうのだったな、と。
ファウストに連載していたやつで足りなかったのは、この能登の存在だったと思います。

[Today's tune]Ex.人間/Syrup16g