死が二人をわかつまで(ジョン・ディクスン・カー)

死が二人をわかつまで (ハヤカワミステリ文庫)

死が二人をわかつまで (ハヤカワミステリ文庫)

もう、完全にカーの王道ですね。うん。
婚約者の秘密に、名探偵、それに密室殺人事件に過去の因縁。
好きな人には、これほどたまらないものはないと思いますが、好きじゃない人には、欠点だらけに映るのが目に見えているのが最高です。
というわけで、細かい差はあるものの、大体のカーだと思えば、ストーリーもすらすら頭にはいってきます。
ものすごいワンパターンですが、それが、いいんですよー。
というわけで、若竹七海の解説というかエッセイにひっかけて、はじめに読んではいけないカー作品とはじめに読んでみるといいかもしれないカー作品を考えてみる。
まぁ、普通にはじめに読んだほうが良いもの、といえば、火刑法廷、プレーグコートあたりを出しておけばいいと思います。
で、カーの傑作といえば、他には三つの棺、皇帝の嗅ぎ煙草入れあたりがあげられるかもしれないですが、三つの棺はカーの中でもくせがある方なので、あまりお勧めできません。なんせ、いきなりフェル博士が「我々は小説の中の〜」と始める密室講義入りなので。皇帝の〜も、カーにしては異色なので、「カー入門」としては不向きかも。
連続殺人事件あたりも、印象に残るのは酔っぱらってチャンバラやってるシーンだったりするので、それはそれでお勧めできないかも。弓弦城とか緑カプセル、曲がった蝶番あたりも傑作だと思うし好きなんですけど、いちばんはじめに読むにはインパクトという点で劣っているんじゃないかなぁ、と。
喉切り隊長とかは、純粋なミステリというよりはドラマ性が面白いものなので、ちょっとカーになれてからの方が楽しめるだろうし。
……やっぱり、いちばんはじめに読むカー、というのは難しいんでしょうか?
ちなみに、私は皇帝の嗅ぎ煙草入れからはいりました。

[Today's tune](When You Wake) You're Still in a Dream/My Bloody Valentine